当記事は廃線探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。

所在地 岩手県八幡平市
探索日 平成17(2005)年7月24日

かつて八幡平の岩手県側登山基地であった松尾鉱山跡に立ち並ぶ高層アパート廃墟群。東洋一と言われた硫黄鉱山の名残である。

岩手県と秋田県に跨がる八幡平(はちまんたい)は、海抜1614mのこの山名を持つ火山を中心に奥羽山脈の広い山域を総称する、北東北を代表する山岳的観光地である。

昭和45年に山頂近くを貫通して岩手県側松尾鉱山と秋田県側蒸ノ湯を結ぶ全長26.7kmの観光有料道路「八幡平アスピーテライン」が全通したことで、八幡平は誰もが高山風景を楽しめる観光地へと生まれ変わったが、かつての八幡平は日帰りで極められるような手軽な山ではなかった。そこは奥羽山脈の中枢に相応しい原始境だった。

昭和46年版の地形図に「軽車道」を意味する細い実線で描かれている旧藤七車道(赤線)。図の上の方には既に八幡平アスピーテラインが開通している。

山頂から少し下った岩手県側の海抜1400m付近に、オンドルで知られる藤七(とうしち)温泉がある。東北地方では最も標高の高い温泉といわれるが、ここはかつて松尾側の屋敷台から山頂を目指す登山者たちが必ず立ち寄る重要な登山基地だった。

この古く重要な登山道は、いつの頃からか「ジープ」が通れるくらいに整備されていたという。ジープとはアメリカ陸軍に採用された小型軍用車両に由来する強力な走破性能を有する四輪駆動車(現在は商標登録されている)のことであり、「ジープ道」といえば、この種のクロカン車だけが通行しうるような過酷な整備状況の車道を指す言葉である。

藤七温泉への登山道は、同所への荷揚げを主な目的としたジープ道として、アスピーテラインが整備されるまで活躍していたのである。そこから「旧藤七車道」という登山道としての通称も生まれた。

今作のターゲットは、旧藤七車道だ。海抜1400mの温泉を目指して、樹海、峡谷、そして「地獄」地帯を踏破する!

【 予告写真集 】

旧藤七車道に残されていた石畳による道路舗装。一見すると近世以前の石畳道だが、ジープのタイヤを支えるために敷かれたものと考えられる。
藤七温泉から流れ出る高温の源泉は、やがて多くの谷水を集めて北ノ又川の渓谷となる。樹海を貫く谷沿いに、道なき道を捜索した。
渓谷上流で突如遭遇した、谷を跨ぐ巨大な人工物。その正体は……。
苦闘の果てに辿り着いた源泉地帯では、驚くべきことに、路肩の石垣に噴気孔が口を開けており、生々しい地球の息吹を嗅がせてきた。こんな廃道見たことない?!
2023年7月末に連載開始予定。
お楽しみに!