岩手県の県南に位置する一関市千厩町。古くから名馬の産地として知られるこの町に、どうしてもお邪魔したい喫茶店がありました。
「千厩酒のくら交流施設」の敷地内にひっそりと佇む「珈琲 樂」です。

2017年7月にオープンしたこのお店は、カウンター席4席と2人掛け席2つの、小さな自家焙煎珈琲店。
2つある入口にはそれぞれ、味のある看板がかけられています。

1枚目の看板の文字は、谷川俊太郎さん。2枚目の文字は俳優の渡辺謙さんに書いていただいたそうです。
……え?どういうことデスカ?
そんなプレミアムな看板を2つも掲げた喫茶店がありますか!?(あるんです…!)
もともと音楽好きだというマスター。谷川俊太郎さんとは、とある音楽イベントで偶然お会いしたそうです。(この時点でミラクル)渡辺謙さんには喫茶店を開く前に、彼のプロデュース企画に応募して最終選考まで残ったことがあるそうで、そこで看板の文字をお願いしたそう。(もはや未知の領域)
「なんだか昔から運が良いんですよね」
驚愕している私をよそに、マスターはニコニコと笑いながら夏の新作ブレンドを出してくれました。

これがまた…美味い。最初に口に含むとコーヒーのしっかりとした香りが広がるのですが、喉を通る頃にはスッキリと爽やかな味わいに変化しています。まるで水を飲んだあとのようなサッパリ感で、コクコクと飲めてしまう不思議な一杯。まさに夏にピッタリのブレンドです。
さらにコチラもオススメ。

コーヒー専門店では珍しくないそうですが、私は今回が初めて。あまりに美しいので外の景色をバックに撮りたいと、こぼさないようにヒヤヒヤしながら窓辺に移動しました。


なんてはしゃぎつつ、一口飲んでみると…
「………!!」
もう、言葉を失うほどの芳醇な香りが広がります。コーヒーは深く、甘みがついていて最高にまろやか。アルコールは入っていませんが、リキュールが入っていると言われても頷いてしまうほど豊かで大人な味わいです。
「コーヒーはブラック以外、認めん!」という方じゃなければ、ぜひ味わってほしい一杯です。
そんな珈琲 樂で活躍中の焙煎機がコチラ。


コーヒー好きなら一度はその名を耳にしたことのある「コーノ式」の焙煎機。「コーノ」とは、世界で初めてサイフォンや円錐形ドリッパーを開発した「珈琲サイフォン株式會社」の河野社長の名前からとったものです。そしてこの焙煎機は、河野社長がご自身で使用していたもの。なんと、社長愛用の焙煎機を受け継いで使っているのです!さらに珈琲 樂は、「コーノ式」東北唯一のオフィシャルショップでもあるというから驚きが止まりません。世界中の人たちから愛されているコーノ式。珈琲 樂にも、はるばる台湾から来るお客様もいるそうで…あまりに特異なエピソードの数々に、私の脳内には「樂のマスター最強説」が誕生しました。

そしてこちらも最強の「ハニーチーズトースト」。カリッと焼き上がった厚切りのトーストに、ブルーチーズとハチミツのハーモニーがもう、たまりません!まさに飛び上がるほどの美味しさでした。(実際、ちょっと飛び上がりました)
聞けば聞くほど、味わえば味わうほど驚きの珈琲 樂。それでもお店そのものは、いたって静かに佇んでいます。晴れの日はもちろん、雨の日にも訪れてゆっくりとコーヒーを味わいたくなるような、そんな場所でした。
次のお休みの日にでも、足を運んでみてはいかがでしょうか。
