冬のクルマ旅には欠かせない、温かい食事。東北の道の駅では、その土地の味わいがぎゅっと詰まった汁物をつくって、あなたが来るのを待っている。寒い季節に訪れた人だけが味わえる、じんわりやさしい郷土汁をどうぞ。

記事中のデータは2017年11月30日現在のものです。料金や営業時間等が変更になっている場合もありますので、あらかじめご了承ください。

 


山形の郷土の秋味を

この冬も

 

【山形県】道の駅 むらやま

休みの日には、研究もかねておいしいものを食べに出かけるという道の駅むらやま調理主任の加藤崇さん。
そのあくなき探求心と丁寧な仕事ぶりが、おいしい芋煮の原点になっている

 

里芋のねっとり感がたまらない村山っ子のソウルフード

 山形の郷土の味のひとつである芋煮。県内でも地域によって作り方が異なるが、村山地方のものは、牛肉に甘めの醤油味の“ザ・山形”な味わいのもので、地元っ子のソウルフードとして食されている。

 当駅のカフェ・Michi Caféでは、割烹で修業した加藤崇さんが調理主任に就任した6年前から、芋煮の提供を始めた。加藤さんは「山形の名物を気軽に召し上がっていただきたくて、メニューに加えました」と話す。芋煮に入れるのは、ねっとりした村山産の里芋に牛肉、ごぼう、こんにゃく、しめじ、ねぎ。素材から出る甘みを活かし、丁寧にあく取りをするのが、おいしさの秘訣だという。通常は秋だけの提供だが、[michi‐co]掲載記念として特別に1月末までの提供が決まったそうなので、ぜひ味わってほしい。

 また、芋煮の評判のよさを受け、当駅と地元・村山産業高校の生徒が、村山産の里芋を使ったお土産用芋煮「いも煮国」を共同開発。その第二弾として「芋煮コロッケ」も誕生した。これまた絶品のファストフードとなっているので、お試しあれ。

ねっとりした里芋がえも言われぬ旨さを引き立てる芋煮(400円)。寒い冬でも芋煮をいただけば、ほっこり、のんびり
芋煮は、カフェ・Michi Caféで提供。スタッフさんの笑顔もあったかで、ほんわかした気持ちに
芋煮にした里芋をつぶし、芋煮のほかの具材と混ぜ合わせて一口大のコロッケにした、芋煮コロッケ(5個入り・350円 ファストフードで提供)
地元高校生とコラボして完成させた
お土産用芋煮・いも煮国(1,300円)

道の駅むらやま

所在地/山形県村山市大字楯岡7635-1
電  話/0237-55-7100
営業時間/Michi Café
     9:00〜17:00
定休日/無休 ※臨時休業あり

※情報は2017年11月30日現在のものです。

 


自慢の長芋を使った

すいとん

 

【青森県】道の駅 しちのへ

限定一日20食の長芋すいとん定食(600円)はGWまでの期間限定。小豆入りの十穀米・小鉢・漬物付きと地元の味尽くしがうれしい

 

鶏肉や野菜がた〜っぷり だしでいただく故郷の味

 道の駅で、土地に伝わる郷土の味に出合えたら、食べずに帰るなんてもったいない。レストラン絵馬では、あん入りの餅をだしでいただく「けいらん」や、馬産地ならではの一品も提供しているが、寒い季節にハフハフしながら食べたくなるのは、これ!   「長芋すいとん定食」だ。

 当駅のすいとんは、鶏からだしを取った醤油味。小麦粉に長芋を合わせて生地を作り、にんじん、はくさい、ごぼうなど地物野菜と鶏肉をどっさり入れた具だくさんの汁と合わせていただく。料理長の福村幸広さんは「長芋の産地だから普段から食卓にのぼる母親の味。当駅ではすった長芋で作りますが、茹でた長芋を混ぜる人もいます」と話す。 道の駅で提供し始めた当初は、すいとんだねを引きちぎって入れたり、小麦粉と長芋を同量にしたりと試行錯誤を繰り返し、やっと今の味に落ち着いたのだという。長芋のぷつぷつした食感を残す、とろんとろんの舌触り。具材の味わいがじんわり溶け出した旨みたっぷりの汁とよ〜く絡み、どこか懐かしい味わいに心も体も温まる。

 

生地を切る福村料理長。具材の種類や使う醤油などは家ごとに定番の味があり、料理長のお宅のだしは、鶏の手羽中だそう
練って寝かせて伸ばし、切って茹でて水でしめる。家庭で食べるときは、鍋のように作って家族で囲むことも
街なかのレストランとはひと味違う、地元のご馳走がいろいろ味わえると評判の道の駅だ

道の駅しちのへ

所在地/青森県上北郡七戸町字荒熊内67-94
電  話/0176-62-5777
営業時間/レストラン 絵馬
     10:00〜15:00(LO14:30)
定休日/12月31日・3月31日

※情報は2017年11月30日現在のものです。

 


おもてなしから生まれた

郷土の味

 

【岩手県】道の駅 白樺の里やまがた

まめぶは1杯500円。さらにごはんや小鉢が付いた「まめぶ定食」は1,000円

 

味の決め手はだしとクルミと黒砂糖入りのまめぶ

 「まめぶ」は、岩手県久慈市山形町に伝わる郷土料理。テレビドラマに登場したことで有名になったが、道の駅白樺の里やまがたの柳久保チエ子さんによると、「山形町以外の人はあまり作らない、この地区特有の料理だった」という。

 まめぶは、たくさんの具が入った醤油味の汁物に、クルミと黒砂糖を小麦粉の生地で包んだ団子〝まめぶ〟を入れたもの。地区や家によって黒砂糖の量が異なったり、汁にとろみをつけたりの違いがあるという。

 道の駅で提供しているまめぶは、煮干しと昆布でだしをとり、ごぼうやぶなしめじなど7種類の食材を入れ、まめぶを加えたもの。しょっぱさと甘さが口の中で渾然一体となり、またクルミの食感がアクセントとなっておいしい。

 小さなまめぶを1個ずつつくるのは大変だ。柳久保さんは、「確かに手間はかかりますね。だから、昔はおもてなしの料理だったのです」という。このまめぶのうみだすしょっぱくて甘い味は、普通では想像できないかもしれない。百聞は一見に如かずではないが、まずは道の駅でお試しを。

 

当駅のまめぶは、にんじんやごぼう、ぶなしめじ、焼き豆腐など7種類の具を使用
産直では冷凍まめぶを販売。20個入450円、15個入420円
まめぶをおしるこにした「まめぶるこ」(500円)。道の駅オリジナルスイーツとして人気

道の駅白樺の里やまがた

所在地/岩手県久慈市山形町川井8-12-1
電  話/0194-72-3131
営業時間/食堂・食楽(くうらく)
     11:00〜15:00(LO)
定休日/火曜、12月30日〜1月3日

※情報は2017年11月30日現在のものです。

 


 

【福島県】道の駅 安達

祝い事や祭りに欠かせない野菜たっぷりのざくざく汁

 福島県二本松市に伝わる郷土料理・ざくざく汁。冠婚葬祭で供されることが多く、毎年10月に開催される「二本松の祭り」期間中は、各家庭でざくざく汁をつくるそうだ。だしも材料も家庭ごとに異なるが、当駅のざくざく汁には、大根、人参、ごぼう、里芋などの野菜と、鶏肉、こんにゃく、生揚げなどが入る。すべての材料を“ざくざく”角切りにして煮込み、野菜と鶏肉などから旨みが出た汁に、醤油で味付けして出来上がり。具だくさんで栄養豊富な汁物なので、おにぎりを合わせるだけで、立派な食事になる。

「道の駅でいつでも味わえるのがうれしい」と、地元の人や観光客に愛されるざくざく汁(250円)
手軽なレトルトのざくざく(399円)も人気商品。農産品コーナーで材料をそろえてつくるのもいい

道の駅安達(下り線)

所在地/福島県二本松市米沢字下川原田105-2
電  話/0243-24-9200
営業時間/道ナカ食堂
     7:00〜19:00(12月〜2月・〜18:00)
定休日/無休

※情報は2017年11月30日現在のものです。

 


 

【秋田県】道の駅 みねはま

米、野菜、比内地鶏 特産品といただくだまこもち

 ご飯をつぶして丸めただまこもちを、比内地鶏や野菜と煮るだまこ鍋は、米食文化が豊かな秋田の冬のごちそうだ。道の駅みねはまのレストラン・はっぽうでは、お手製のだまこもちを焼いて香ばしく仕上げ、お椀に盛り付けて提供しているので、気軽に味わうことができる。農産が盛んな地だけあって採れたての白神ねぎ、舞茸などがたっぷり。味の決め手は、秋田特産の比内地鶏。もちもちした食感のだまこもちにスープがしみ込み、コクと風味が口いっぱいに広がる。秋田ならではの郷土料理を食べに、道の駅へ出かけたい。

だまこもち(580円)。採れたての野菜などもたっぷり
甘味と香りが自慢の白神ねぎ。露地栽培の舞茸やだまこもちも販売している

道の駅みねはま

所在地/秋田県山本郡八峰町峰浜沼田字ホンコ谷地147-6
電  話/0185-76-4649
営業時間/レストラン・はっぽう
     11:00〜16:00
定休日/第1・3水曜(1月〜3月)、1月1日〜3日

※情報は2017年11月30日現在のものです。

 


うまみ吸った

「はっと」が最高

 

【宮城県】道の駅 米山

「栄養満点、ボリュームたっぷりのはっと汁、食べてけさいん」と、笑顔の戸部さん

 

地元っ子も待ちわびる冬に欠かせない家庭の味

 吹く風が冷たくなると、常連客から「まだ出ないの?」と催促される冬の人気メニュー「はっと汁定食」。はっとは、小麦粉を水で練って薄くのばして茹でたもので、ツルツル、シコシコした食感が魅力。鶏だしに醤油で味を付けた汁に、ごぼう、ねぎなどたっぷりの野菜やきのこを入れたはっと汁は、登米地域のソウルフードだ。

 はっとはお手製。手間も時間もかかるため、作るのは人手に余裕がある日に限られる。朝一番、2キロの粉を30分かけて手でこね、寝かせておく。営業終了後、いい具合に熟成した生地をスタッフ全員で手でちぎり、のばして茹でる。地元で「はっとを『摘む』」と表現する作業だ。できあがったら一人分ずつ小分けで冷凍しておく。

 「どの家でも作るから、このあたりの人は誰でも『摘め』ますよ」と、チーフの戸部美保さん。ただ戸部さん、自宅ではしないとか。「義母のはっとには敵わない。子どもたちも、ばぁばのがおいしいって」と笑う。はっとの食感や薄さはもちろん、だしの取り方や入れる野菜も家庭ごとに違うはっと汁。「みんな、『ウチのが一番』って思ってるの」。それこそが、ソウルフードの証だろう。

ごはん、小鉢、漬物が付いて600円とリーズナブル。だしと野菜の旨みを吸ったはっとが美味
地元で採れる新鮮野菜が名脇役。手前は、小麦粉をこねて寝かせたはっとの生地
初心者でもこねやすいはっと粉(432円)、つゆに入れて軽く煮るだけのゆではっと(360円)も人気商品

道の駅米山

所在地/宮城県登米市米山町西野字新遠田67
電  話/0220-55-2747
営業時間/レストラン
     10:00〜16:00(食事は11:00〜)
定休日/年末年始

※情報は2017年11月30日現在のものです。