東北奇譚巡り
川倉賽の河原地蔵尊 ②
亡き人の言葉を求めて
毎年、旧暦の六月二十二日から三日間にわたって開かれる川倉賽の河原地蔵尊の例大祭では、イタコによる口寄せも行われている。かつては数十人ものイタコが夜通し口寄せを行い、それを目当てに大勢の人が詰めかけたという。
しかし、現在はイタコの減少により、口寄せを行うイタコは一人だけになってしまった。それでも、県内外から亡き人の言葉を求めて、川倉賽の河原地蔵尊の例大祭を訪れる人は後を絶たない。
今年の夏、例大祭で口寄せが行われるイタコ小屋を訪ねてみると、朝から何人もの人が、イタコの口寄せの順番を待っていた。休憩も取らずに口寄せを行い続けていたのは、弘前市の木村妙海さんだ。津軽最後のイタコと呼ばれる木村さんの口から語られる亡き人の言葉に、皆が涙し、静かに深く頷いていた。
彼岸と此岸をつなぐ場所
川倉賽の河原地蔵尊は、霊場がパワースポットと呼ばれ観光化する中、宗教や宗派を問わず、人々の亡き者への思いに寄り添っている。歴史と先人の思いが詰まった、彼岸(あの世)と此岸(この世)をつなぐ場所は、今後も大事な人を思い出させてくれるはずだ。そしてこの場所は、時代が移ろっても、決して消えてはならない場所のひとつだろう。
文・鶴乃 大助(怪談作家)
青森県弘前市在住。怪談好きが高じて、イタコやカミサマといった地元のシャーマンと交流を持つ。津軽弁による怪談イベントなどを県内外で精力的に行う。共著に『青森怪談 弘前乃怪』『奥羽怪談シリーズ』『秋田怪談』など。最新刊に『青森の怖い話』(竹書房)がある。

