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追良瀬川森林鉄道 【本編第15回】

『このレポートは、「日本の廃道」2011年12月号および2012年1月号に掲載された「特濃廃道歩き 第36回 深浦営林署 追良瀬川森林鉄道」を加筆修正したものです。当記事は廃線探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。』

未だ知られざる
白神山地の森林鉄道に挑む。

所在地 青森県西津軽郡深浦町
探索日 平成23年6月18日


◇第3ステージ 奥地軌道跡探索 その10

■16.5km地点 13:31 

 右岸に移って200mほど進んだが、またしても路盤が消失。仕方なく河床へ降りて先を見ると……、なんということ!

 対岸に平場が見える!

 一行は三度本流を徒渉し、左岸に寄る。しかし、終点間近と思われるところに来て、この頻繁な本流渡河は何ごとだろうか。両岸を見較べて、地形が緩やかな側に、率先して路盤が敷かれている。土工で険しい岩盤を削るよりも、橋で身軽に両岸を行き来する事を選んだようだが、橋はコストが高く、しかも災害にも弱い。現にさっきの橋も今度の橋も、完全に流失してしまっているじゃないか。

 小川であればわかるが、依然として幅10mはある、しかも水量も豊富な追良瀬川を、こうも気軽に行き来することの必然性は、ちょっと思いつかない。

■16.6km地点 13:34 

 左岸に移った路盤には、敢えて上ってみようという気にならないほど、水面より簡単に見上げられる位置にあった。そしてそのまま50mばかり路盤を見上げながら河床をザブザブと進んでいくと、なんと、またまたしても! 4たび! 本流に架橋していたらしく、流れの対岸に、続きの路盤が現れたのである。

 地形図に描かれている川沿いの徒歩道は、ここで途切れているのだが、実際の軌道跡はまだ終わっていないようだ。とはいえ、林鉄は全長17kmとされており、実測16.6km付近まで来ていることを考えると、その終点も近づいている。計測の誤差も考えれば、いつ終点が現れても不思議はないと思う。

 そのような最終盤に至って、川の蛇行を串刺しにして橋を連続で架ける場面が現れるとは、本当に予想外だ。走行性を重視した高規格な線形だが、林鉄としてはオーバースペックだし、各橋が全く残っていないせいで、地に足が付いていないというような印象を受けた。大きな川を渡るに相応しい頑丈な橋が架かっていたようにはとても思えなかった。

この流れはゆったりとして緩く、押し流されるような危険は感じなかったが、水深が深く、腰まで水に浸かって徒渉しなければならなかった。相変わらず水が冷たい!

 徒渉して右岸の森に入ると、ちゃんと路盤があった。しかし、レールが見当らなかった。とはいえ、土と草に埋れてしまっているだけかも知れない。それを確認せぬまま、森の中の路盤を100mほど進むと、高い岩場が行く手を遮る気配を見せた。

その岩場の下には、整地が行われた気配があった。特に岩場に接する山側には高い法面が切り出されていて、大規模な掘鑿が行われたようだった。

 岩場を切り出した法面の奥は、この写真のような角になっていて、それ以上先へは進めない造りであった。右側は川に向けて開けているが、もし進むなら5たび、本流を渡るはめになるだろう。

ここでの岩盤掘削は、単純に路盤を延長するためというよりも、狭い川岸に広い平地を作り出そうという目的があったような印象を受けた。

ここが、終点か?

続く。

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