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浪江森林鉄道 真草沢(まくさざわ)線【第19回】

 このレポートは、「日本の廃道」2010年5月号に掲載された「特濃廃道歩き 第27回 浪江森林鉄道 真草沢線」を加筆修正したものです。当記事は廃道探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。

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 このレポートは、「日本の廃道」2010年5月号に掲載された「特濃廃道歩き 第27回 浪江森林鉄道 真草沢線」を加筆修正したものです。当記事は廃道探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。

 

◆ 10:18 堀割の尾根

 

 

ブルドーザーで均した林業用作業路と同化した軌道跡は辿る行為は、私に不毛の感情を抱かせた。落胆を誘うプラヒューム管が露出する谷を越え、さらに150mほど進むと、再びの谷があった。しかしそこには嬉しい誤算が。

谷で路盤は途切れていた。その先へブル道が延びることを阻止した恰好だ。しかも、路盤の終端には角張った石垣が残されていた。軌道時代の橋台の残骸に違いない。遺構としての規模は小さく、保存状態も良くない。だが、この先がブル道化を免れていることを保証する発見に私は湧いた。

 

 

純然たる本来の軌道跡が、おおよそ300mぶりに復活してくれた。ただ、土質が悪いのか、路盤の状況は良くなかった。怪しい急傾斜地を、はらはらしながら横断しなければならなかった。

それからまた数分後、小さな尾根を回り込む地点が見えてきた。

 

 

小さな尾根を回り込む地点には、小さいながらも美しい切り通しが残っていてくれた。

 

 

回り込んだ先も、良好な路盤が残っていた。かなり大規模に岩場を切り開いてあることはもちろん、そこからの高所感ある眺めも見応えがあった。

上部には、20mほどの落差を隔てて、並行する作業路が存在しているはずなので、この保存状況は幸運である。

 

 

前方に緑の濃い稜線が見えてきた。この季節感も緩急もない単調な緑は、探索開始からいままで見なかった色だった。若いスギが隙間なく整然と並ぶ、植林地の姿に他ならなかった。

 

作業路が出現した段階で、予感はあったが、いよいよ現在進行形の造林地が現れた。インクライン二発を駆使して上り詰めた先に、大規模な造林地が存在していた。これぞ、かつて大規模な伐採が行われた名残であり、林業に適した肥沃な土地である証拠。すなわち、この軌道跡が建設された意義を窺わせるものだ。

 

終点が近いことを、予感した。

 

 

最後の切り通しから150mほど、前方に緑の稜線を見上げながら進むと、例の作業路が山から降りてきて、再び進路を遮った。と同時に、谷側から真草沢の谷底が上がってきて、作業路と谷が狭い路盤をあっという間に挟撃する形となった。

 

万事休す。

 

 

なすすべもなく道は塞がった。谷に呑まれると同時に、作業路の法下である人工斜面に覆い被せられた。周囲はスギの若い造林地だ。5mほどの落差を上り詰めると、作業路に出た。作業路はここで谷を横断しており、谷を塞ぐ築堤と小さな広場を作っていた。

 

◆ 10:28 軌道跡喪失 

 

 

 

入山開始から2時間半。海抜440m付近の山中にある造林地に突き当たり、軌道跡は再び作業路によって断たれた。立地的には、もうこの辺りに終点があったとしても不思議ではない。

少なくとも、ブル道を突き抜けて谷の上流へ延びていた形跡はない。河床勾配が急で、これ以上は遡りようがないだろう。

 

 

ここも国有林であるらしく、浪江事業区が設置した標柱があった。浪江森林鉄道も、その支線も、国有林経営のための施設であったから、当然その終点も国有林内であったはず。この場所は条件に合致する。平成3年新植の表示から、平成時代に入ってからも林業が行われていたことが分かるが、当事業地へのアクセスルートだった軌道の廃止は、遙かに前だろう。いまはブル道と、その親玉である林道によって、下界と通じているはずだ。それが、私の下山路にもなる。

 

 

軌道の終点が、もしここでないならば、谷を渡って南へ進んだ可能性しかないが、そこはブル道の進路と重なっていた。

 

 次回、フィナーレ。

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