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浪江森林鉄道 真草沢(まくさざわ)線【第4回】

 このレポートは、「日本の廃道」2010年5月号に掲載された「特濃廃道歩き 第27回 浪江森林鉄道 真草沢線」を加筆修正したものです。当記事は廃道探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。

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 このレポートは、「日本の廃道」2010年5月号に掲載された「特濃廃道歩き 第27回 浪江森林鉄道 真草沢線」を加筆修正したものです。当記事は廃道探索をテーマにしており、不用意に真似をした場合、あなたの生命に危険が及ぶ可能性があります。当記事を参考にあなたが廃道へ赴き、いかなる損害を受けた場合も、作者(マイみちスト)およびみちこ編集室・道の駅連絡会は責を負いません。

 

 

 ここで真草沢の対岸に目を向けると、興奮の光景が展開していた。

そこには、九十九折りを描きながら上っていく、明確な道形があった(矢印の位置)。

 いかにも軌道跡を思わせる、極めて勾配の緩い九十九折りは、それがこの道の行く先であることを物語っていた。だが、あそこへ行くにはまず、目の前の真草沢を渡らねばならない。道がここからどのように繋がっているのか楽しみだ。

探索中常に携行しているGPSのメモリに、こうして地図にない道が増えていくのは、廃道歩きの醍醐味である。あとでそれを見て、征服した道のりの長さにほくそ笑むのは、とても楽しい。

 

 

 直後、対岸に苔生した橋台を発見!

写真からはきっと分かりづらいだろうが、期待を込めた熱視線を行く手に注ぎ続ける探索者には、望遠レンズなど要らない(言い過ぎ)。

地形的に見て、ここには長さ2~30mの木橋がかかっていたと思われる。

 

え? 肝心の橋は残ってないのかって?

 

 残念ながら、これが探索のほぼ毎回の現実なのだよ。森林鉄道の探索において、木橋の現存は極めてレアな事象である。それだけに、「導入」で紹介した中丸木沢線が凄かったわけで。全国的に見てもこの浜通り地方は、温和で積雪が少なく、台風襲来の頻度も多くないという、木橋の保存に適した地域ではあるが、それでも廃止から半世紀を超えた木橋が残っていることは、滅多にない。

 

◆ 8:07 真草沢 第一渡河地点 【現在地】

 

 真草沢は、2万5千分の1地形図には沢名はおろか、水線が全く描かれておらず、ただ幾重にも等高線が折り重なった楓葉状の谷が見て取れるのみである。つまり水量の大きな谷ではないということで、実際、まだまだ下流といえるはずのここ、「第一渡河地点」でも、流れの幅は3mほどしかなかった。容易に飛び石で越えられるはずだったのだが、

 

 ゆ、油断したゼ…。

(こんなに呆気なく足を濡らしてしまうとは、不覚……)

 

 

 

 美しい! 丁寧な石積みの橋台だ!

 朝日を受けた苔が宝石みたいに光っているぜ。石積みではあるが、間近に見ると、目地がモルタルで丁寧に埋められていた。いい造りだ。橋桁を乗せる切り欠きの高さを見る限り、やはり木橋だったようだ。

 

 こうして私は、初めて真草沢の左岸へ足を踏み入れた。少し前に見た九十九折りの区間に入ったのだ。不注意のために濡らしてしまった右足が不快だが、替えの靴を車へ取りに戻るほどヤワではない。早く先が見たい!

 

 

 道は斜面を緩やかにトラバースしながら、九十九折りで高度を上げている。陽当たりがよくなったせいか、また笹が増え始めた。笹の下にある道幅は2mほどで、昭和28年に制定された二級森林鉄道の幅員規格に合致している。しかし、かつて存在していたバラストや枕木、そしてレールは、完全に失われていた。廃品となっても高価なレールは、廃止の時点で回収するのが基本であり、滅多に残されはしないのである。

 

 次回、最初の難関が行く手を阻む……!

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