まいにち・みちこ【東北 道の駅 日刊マガジン】

「道の駅 三田貝分校」〜季節も時代も巻き戻る、時間旅行にでかけよう〜

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人生は当たり前の毎日が重なる一冊の本。読んだあなたのその本に挟んでいく栞になるように、日々が少し彩るようにと思いながら書いていきます。満月と新月の頃に更新。
まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/56479328/17116

ゆるキャン△に憧れて。岩泉で見つけた火の赤、日の橙、夜の黒。の翌日のお話です。

 

前日の曇り空とは打って変わって、真っ青な空で迎えた岩泉の朝。

夜は、二段ベッドの下、三人お刺身状態で眠りはじめたが、やはり狭くて私はこっそり上の段のベッドに避難。おかげでぐっすりと眠ることができた。

子どもたちにシーツの片付けをお願いして、わたしは朝ごはんの準備を。昨日岩泉の道の駅で買っておいた、飲むヨーグルトとバゲット、卵を炒めたのと、りんごとバナナ。テラスで食べようと思っていたけれど、朝の風が冷たくて断念した。

光の綺麗なダイニングで、今日の予定を相談しながらもぐもぐもぐと朝ごはんは終了。名残惜しいけれど出発の準備にとりかかる。

片付けや掃除をしているとこんなものを発見した。トイレットペーパーの芯のようで 「虫取り用」と書かれている。おそらく、虫が苦手な人も触れずに外に出せるように、管理人の方が作ってくれたものだろう。虫嫌いな兄が「これ作ってくれた人はやさしいね!心配してくれたんだもんね」とわたしに言う。

ほんと、そうだよね。ピカピカな設備も嬉しいけれど、こどもといると特にこういう気配り、善意、そういうものに触れられたことのほうが心に響く。

一晩私たちを泊めてくれた「あかまつ」のコテージにもお礼を言い、鍵を返却した。

そしてこども達が昨日から楽しみにしていた敷地内の遊具へ。

小学生くらいまでのこどもが多く、ちょうどいい賑わい。風が少し強かったけれど、日差しは暖かく駆け回って遊んだ。

二人が一番気に入ったのは、「そりすべり」だ。洗剤のスプレーが用意してあって(これもやさしさを感じて、嬉しかった)、シュッシュッとそりの裏面にかけてから滑るとかなりのスピード!

何度も何度も、すべって、笑って、駆け上がる。

すべって笑って、駆け上がる。

 

ターザンロープなど他の遊具でも思い切り遊んで、そろそろ盛岡へ向かう時間になった。

ブルートレインにも、透き通った空にも「また岩泉においでよ」と言われているような気分。

この寝台列車でも宿泊することができるそうで、「次は電車に泊まってみたいね!」と話し、綺麗な青の車体を眺めながら駐車場まで歩く。

帰りに食べよう、って楽しみにしていた、道の駅岩泉のソフトクリームを車内で。

この旅で岩泉のヨーグルトも、牛乳もソフトクリームも食べてみた。全部こってりしすぎていなくて、後味がいい。牛乳は浅めの珈琲とカフェオレにしても美味しそうだし、ヨーグルトは酸味のあるフルーツと一緒に食べたいな。ミルクっぽさが苦手な人でも岩泉の乳製品なら食べられるんじゃないかなあ、と考えながら三人でパクパクぺろぺろ。

小腹も満たされたし!ということで、道の駅を出発。

花が咲く前の山は、ふんわりとあたたかい靄がかかっているように見えて、すごくわくわくする。木や山が「さあ、これからだ」というスタートラインに立っているような、緊張感と期待と。

本当は龍泉洞に立ち寄る予定だったが、子どもたちはコウモリが恐いそうで(笑)今回は断念。行きたかった……。

木漏れ日の中、山道をぐんぐん進んで次の目的地へ。

 

次に車を降りたのは、「道の駅 三田貝分校」だ。

岩泉町立門小学校三田貝分校は実際にあった小学校で、明治22年から平成11年までの109年間、たくさんの小学生が通った学び舎。この跡地が、今は道の駅として利用されている。

中に入ると左側がトイレとお土産物売り場、右側が食堂だ。食堂へ行く途中にはこんな珍しいものが……。弾き手には妹が立候補。足が届かないので私と兄でペダルを踏む。鍵盤を小さな手でおさえるとアコーディオンのようなふわーっとした優しい音がした。

食堂へと進む。入り口で兄はラーメンを。妹はきな粉揚げパンを注文した。

食堂の中は、学校の教室を思い出させるアイテムがあちこちに。小学生が書いた習字や、絵画が飾ってあったり、時間割まである。

私たちが伺った時間は14時頃だったけれど、中はお客さんでいっぱいだった。平日だったので、お仕事中の服装の方も多く、8割大人。みんな6年間は使ったであろう、あの机と椅子でお食事をいただいている。

「あれは今の学校とちがーう」「これ、学校のと同じだー!」現役小学生の兄はラーメンを食べながら、自分の教室と比べ始めた。わたしも、小学生だったころの話を教えたり。もしも、子どもたちと同級生だったらこんな感じだったかな?そんな夢みたいな話で盛り上がる。

当時の給食を再現した、日替わり定食が人気のようだった(食べたかったが売り切れ、残念)。

窓際の席、椅子と机に陽光が斜めに差し込む。それは本当に自分の通った教室の温かさを思い出す色で、少しだけ胸がきゅっとした。みんな、げんきに大人しているかな。

 

また車を走らせる。

岩洞湖がみえてきた。駐車場で外に出てみると、雪も残っているし、湖もまだ凍っていた。桜の蕾が膨らんできたねと話題になるような時に、凍った湖をみることができるとは嬉しい誤算だ。

岩泉の春から岩洞湖の冬、そしてまた盛岡の春。

季節も一つ前を味わえてしまった。

もしかしたら、夏にきたら春が、秋にきたら夏が味わえるのかもしれない。

 

 

岩泉への1泊2日は再会の多い旅だった。

もう遠くへ行ってしまったと思っていた冬にも、いままで思い出すことがなかった小学校の景色とも再会した。

再会することは、心のなかにあるなかなか開かなかったドアも開けてしまう鍵のようで、おかげで普段しないような会話や気持ちが生まれた。

「また来ようね」「そうだね」

車内で当たり前のように交わされる会話。

いつかもっと時間が経った時に、ここを訪れたら、今この時にも戻ってくるのかもしれない。

いや、思い出に再会したいな、と思ったらまた来ればいいんだ。

山道から見下ろす盛岡の景色は、すっかり春を迎える支度をしていて。

わたしたちは冬から春に、過去から今に、小さな時間旅行を終えて帰ってきたのでした。

 この記事を書いた「マイみちスト」
(すがわらまり)
盛岡市在住。聴くこと、撮ること、書くことを通して、「伝わる」ためのお手伝いを仕事にしています。

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