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コーヒーの香りが好き。飲むのも好き。自分で豆を挽いてドリップする瞬間、たまらなく幸せを感じます。そんな無類のコーヒー好き、とっかり商店オススメの喫茶店をご紹介いたします。

内と外とのご縁をつなぐ鉄瓶カフェ/岩手県盛岡市「お茶とてつびん engawa」

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まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/52637419/27952

 

盛岡城跡公園からほど近い、中ノ橋通りにオープンした「お茶とてつびんengawa」。ここは南部鉄器の製造・販売を行うタヤマスタジオが運営する『kanakeno』というブランドがプロデュースしたお店で、鉄瓶で沸かした白湯をお冷の代わりに出してくれます。
この白湯からして、すでに別格。口に含んだ瞬間、何とも言えない“丸み”があって、思わず二度見するほどの美味しさです。盛岡は鮭が遡上するほど水がきれいな街として知られていますが、鉄瓶で沸かすことによってその味わいが、さらに深みを増していくようです。

 

 

カフェでは白湯のほかに、一度鉄瓶で沸かしてから冷やしたお水も用意しています。お店を切り盛りする齊藤さんは、毎朝6リットルもの水を鉄瓶で沸かして冷ますという作業を繰り返しています。ただ沸かすだけではなく、鉄瓶のフタをずらして蒸気を逃がし、中火でじっくりと沸かすのがポイント。こうすることで鉄瓶からじんわりと鉄分が溶け出し、カルキが十分に抜けて、よりまろやかな味わいになるのだそう。「手間はかかりますが、普通の水との違いを感じるにはこれが一番です」と教えてくれました。

 

 

南部の鉄瓶といえば、江戸時代から続く岩手の伝統工芸品。その昔、盛岡やその近郊では製鉄が盛んに行われていて、南部のお殿様が京都から移り住んだ釜師に命じて作らせたのが始まりと言われています。一方、岩手県南にある奥州市水沢では平安時代から鋳物の歴史が始まります。藩政時代は盛岡が南部藩、水沢は伊達(仙台)藩と違うお国だったため、その始まりも作るものも、少し異なっていたようです。
戦争の時代には製造中止という存続の危機に追い込まれますが、技術保存のために必死で活動した結果、盛岡南部鉄器16名、水沢鋳物6名の鋳物師が、年間20個以内という条件付きで製造の許しを得ます。そうやってつないだ技術はやがて「南部鉄器」と呼ばれるようになり、昭和50年に伝統的工芸品として指定され今日に至ります。

そんな長い歴史と職人たちの魂がつまった南部鉄器。その鉄瓶を使って淹れたコーヒーが、こちら!

 

 

もぉぉ、柔らかい!
コーヒーの味の違いは大きくわけると「苦み」と「酸味」になると思いますが、このコーヒーはそこに「柔らかみ」があることを教えてくれます。口に入れた瞬間にふわりと溶けるコーヒー。齊藤さんお手製のコーニッシュチーズケーキと合わせれば、コーヒーのみならず自分自身も溶けてしまいそうなほど幸せなひとときが訪れます。

 

 

そしてカフェの奥には鉄瓶のショップが併設されています。眺めているとつい欲しくなってしまいますが「お、値段以上ですな。じゃあ買おうっと」とは決められない値札にドキドキします。ただ中には比較的、手の届きやすいものもありまして…それがこの「あかいりんご」シリーズです。

 

 

 

南部鉄器の職人は基本的に10~15年ほどの下積みを経て、ようやく製造の全工程に携わることができます。ただ、それでは若手職人が1人前になるまでの時間がかかり過ぎてしまう…。そう考えたタヤマスタジオの田山社長は、先輩職人監修のもと、若手職人が全工程に携わることのできる環境を整えました。そうして誕生したのが、この「あかいりんご」です。南部鉄器は直火はもちろんIHもOKなので、使うシーンを選ばず暮らしに彩りを添えてくれそうです。

 

 

ちなみにショップには、店名にもなっているengawa(縁側)があります。てっきりその建物が由来かと思いきや、縁側という言葉が先とのこと。家の内と外とをつなぎ、気軽に出入りできる場所。そんな縁側のような存在として、鉄瓶を通して盛岡の内と外をつなぎたい。その思いが先で、縁側付きの物件と出会ったのは店名が決まった後のこと。半ば運命的な巡りあわせだったそうです。

…ふと、鉄瓶が作られた当時の鋳物師さんたちがこのカフェを見たら、きっとものすごく嬉しいだろうなぁと思いました。自分たちが生み出した技術が受け継がれて、現代の日常に溶け込んでいる姿。何百年もかけて、今ここにたどり着いている姿。きっと「いやー、良かった良かった」と笑って「で、こーひーって何?」っておっしゃるような気がします。

これから盛岡にいらっしゃる方も、すでに暮らしている方も、南部の歴史を味わうのにおススメのカフェです。もしかしたらお店を出て盛岡の街を歩いた時、それまでとは違った景色が見えるかもしれません。

 

 

◆お茶とてつびんengawa
020-0871
岩手県盛岡市中ノ橋通1-5-2唐たけし寫場1F
TEL:019-656-1089
cafe営業時間:月曜〜金曜 11:30〜21:00(ランチLO 14:30)
土曜~日曜 11:30〜17:30(ランチLO 14:30)
火曜定休
Shop営業時間:水曜〜日曜 11:00〜17:30
月曜・火曜定休
https://kanakeno.com/

 この記事を書いた「マイみちスト」
(とっかりしょうてん)
「岩手山が見える所で暮らしたい」と、2011年に横浜から岩手県盛岡市へUターン。現在はフリーライターとして県内外に出没中。コーヒーが好きで、自宅でも豆を挽いて淹れています。

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皆さまよりお寄せいただいた感想はこちら (6)
  1. アバター とろみ さん

    今鉄瓶を育てています!
    鉄瓶でのお湯の沸かしかた、珈琲の味の違い参考になりました。

    • アバター とっかり商店 さん

      とろみさん
      おぉ、そうなんですね!長く付き合えば付き合うほどにまろやかになるそうなので、これから先が楽しみですね(^^)

  2. アバター みいこ さん

    毎日の生活に珈琲は欠かせません。柔らかい珈琲飲んでみたいです。
    鉄瓶あかいりんごいいですね!

    • アバター とっかり商店 さん

      みいこさん
      きっと鉄瓶によっても柔らかさが変わると思います。機会があれば、ぜひ味わってみてください(^^)

  3. アバター ペンギン さん

    鉄瓶で沸かしたお湯で美味しい コーヒーを飲んでみたいです。

  4. アバター とっかり商店 さん

    ペンギンさん
    ぜひぜひ!コーヒーを飲むと目が覚めると言いますが、鉄瓶で淹れたコーヒーはホッと安心するような美味しさです(^^)

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