「私は20歳だった。それが人生最良の時だとは誰にも言わせない。」
この言葉はフランスの作家である、ポール・ニザンの「アデン・アラビア」という小説の中での有名な一節です。
僕が20歳の頃、映画やドラマのようなドラマチックな青春を送ったかといえば、全くそうではありません(笑)。
人ってさらっと思い出す分には、記憶が多少美化してくれるけれど、さらに深く思い出そうとすると、若気の至りばかりが鼻について、僕はすぐ臭いものに蓋をする。
誰にでも思い出したくない過去はあるものだ。
まだきちんと話したこともない女の子にいきなり告白してフラれたり、ソフトボール大会でギャラリーの女子にいいところを見せようと、思いっきりフルスイングしたら、空振りした上に捻挫してしばらくガニ股で歩いたり。
恥をかきながら、時には叱られながら微修正して、少しずつ人はマトモな大人になって行く。
20歳の時、僕は弘前の大学へ進学していて、実家の青森市から弘前市まで電車通学していました。
弘前駅の駐輪場から自転車を出して大学まで通い、午前中で授業が終わって、インターネットを見ているとふと青森県西海岸の夕日の美しい写真が目に飛び込みました。
小遣いもろくに貰っていない時代で、どうしても夕日を観たかった僕は何故か自転車を繰り出して、夕日を観に西海岸鯵ヶ沢町まで行ったのです(笑)
距離にして片道約40キロ、コース採りを間違えて最短距離を選んだものの、リンゴ畑の曲がりくねった急傾斜のワインディングロードを選んでしまい、半泣きしながらたどり着いたものの、夕日はすでに沈んでいたという残念な結末。
本来であれば思い出したくない過去のはずなのに、絶望に暮れた帰り道で食べたラーメンが美味しくて、なぜか悪い思い出とはならず、むしろ笑い話として時々思い出してしまう。
そんな恥ずかしい思い出から早10年以上が経ち、社会人になった僕は今では容易に車を走らせ、青森県の西海岸まで、たどり着くことができる。


西海岸の夕日はもう、何度も観ました。
既に西海岸は制覇していて、深浦町、鯵ヶ沢町にはもう50回ぐらい行ったかもしれません。



深浦町には友人がいて、よく幹回り22mの日本一大きな大イチョウや、美しい十二湖の青池を一緒に観に行っています。


現在、ルートが崩落して復旧中のため今は見れない、鰺ヶ沢町のくろくまの滝もよく行きました。

大切な友人との出会いや美しい風景を撮りたいと思って始めたブログ活動も、あの時夕日を見れなかった西海岸への執着があったからだと今となっては思います。
あそこで夕日を見てしまったら、そこで満足して終わっていたかも。そして、そこで美味しいラーメンに出会ってなかったら黒歴史として、二度と思い出さぬよう、その記憶を封印していただろう。
そして、当時の僕の絶望を癒してくれたのが、鯵ヶ沢町の人気店「食事処・民宿 なおじろう」さん。
ココは超人気店で、鯵ヶ沢の街中から離れていますが、お昼を過ぎても客足が途切れることがありません。

地元の食材を使った、ボリューム満点の料理が人気で、僕が当時食べたのは今でも一番人気の「なおじろうチャンポン(しお)」¥1200
見た目のインパクトがまず凄い(笑)

サザエ、ズワイガニ、ツブ、ホタテ、ハマグリなど、魚介がふんだんに盛られています。
野菜もたっぷり。


サザエとツブは貝殻からほじくり出して食べるですが、肉厚で美味しい。

ホタテもプリップリと大振りなものを使っています。

そんな魚介の旨味をたっぷり溶け込んだちゃんぽんスープはあっさりしながらもしっかりコクがあって美味しい!

中太の縮れ麺もあっさりスープと良くあっていて、すごく量が多いのですが、美味しくツルッといけちゃいます。
絶望の束の間に食べた美味しいラーメン。
本来、どんなに月日が経っても美しくならないであろう過去ですら、美化され笑い話にしてくれる。
本当、西海岸の食べ物の力ってすごいですね(笑)
●食事処・民宿 なおじろう
営業時間:平常 11:00~19:00
冬期間 平日 11:00~14:00
土日祝 11:00~19:00
※都合により、平成30年6月18日~11月末まで時間を変更して営業するそうです。
〇6月18日~11月末(8月中を除く)
平日 11:00~14:00
土日祝 11:00~19:00
定休日:不定休
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