まいにち・みちこ【東北 道の駅 日刊マガジン】

【プレミアム版】第5回 雪谷(ゆきや)隧道・岩手県(後編)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
本記事では、東北各地で今もなお活躍し、或いは役目を終えて静かに眠る、そんな歴史深い隧道(=トンネル)たちを道路愛好家の目線で紹介する。土木技術が今日より遙かに貧弱だった時代から、交通という文明の根本を文字通り日陰に立って支え続けた偉大な功労者の活躍を伝えたい。
まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/43279586/12762

 

【前編のあらすじ】

岩手県北部、九戸村と軽米町が接する辺りに、存在をすっかり忘れ去られたようなトンネルがある。その名は雪谷隧道。大正14年に完成した、全長145メートルの道路トンネルだ。

「 本邦道路隧道輯覽」に掲載された雪谷隧道の図。各種の技術的情報が凝縮されている。この資料に出会えたのが雪谷隧道への全てのきっかけだった

 

雪谷隧道は、『本邦道路隧道輯覽(しゅうらん)』(※)という昭和16年の文献に記録されており、他の一次資料は未だ発見されていない。私は平成19年にこの文献と出会い、おそらく”岩手県最古のコンクリート道路トンネル”に違いない雪谷隧道を探し出すことに夢中となった。当時この隧道の正確な所在地も、現状も、ネット上や文献に記載が見当たらず、不明であった。 さっそく机上調査をスタートさせた私だが、圧倒的な資料不足のため、自宅でできることは限られていた。そのため、半ば見切り発車的に現地探索へと繰り出した。二人の仲間と共に向った軽米町図書館では、住宅地図という意外な資料から隧道発見の糸口を得た。だが、午後から実際に山中へ分け入ってはじめた隧道捜索は想像以上に難航し、秋の日はみるみるうちに傾いていったのだった。

五枚橋峠を出発して1時間15分、草むした廃道を2.5キロ歩いた先に現れた、前回のラストシーン。倒木に半ば塞がれた掘り割り奥に、凝り固まったような深い闇が佇んでいた。机上調査のスタートから数えて約1ヶ月ぶり、現地調査のタイムアップ直前に漕ぎ着いた、記念すべき雪谷隧道発見の瞬間だった!廃道探索者<オブローダー>である我々が夢にも見た洞内探索が、間もなく現実のものとなる!

土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブスにて公開されている。東北全体では、本連載の第2回でとり上げた「雄鹿戸隧道」を含む11本が掲載。

 

雪谷隧道内部探索編

2007/10/23 16:21 雪谷隧道 軽米側坑口

これが探し求めた雪谷隧道の坑口だ。既に日没後のため辺りは薄暗く、デジカメの性能の限界を超える撮影環境であったため、この後は過剰にノイズの乗った写真が多いがご了承をいただきたい。もっとも、仮に明るい時間に辿り着けていたとしても、谷底のどん詰まりである現地が薄暗いことに変わりはなかったが。

記録によれば、全長は145メートル。まっすぐ九戸側坑口へ通じていたはずの洞内には、一条の光も望めなかった。風が抜けている様子もない。これまで無数の廃止トンネルを相手にしてきた私は、この時点で、内部の潰滅(非貫通)をほぼ確信した。

廃道に慣れていない読者さんの中には、落盤した隧道内部を初めて目にする人もいると思う。閉塞した廃隧道への立ち入りには、落盤、酸欠、暗所での転倒など、地上の廃道にはない物理的リスクがあるので、探索には十分な注意と準備が必要だ。それに、廃隧道は多くの人が典型的にイメージする“不気味な場所”であって、侵入には……(この記事には続きがあります。会員登録で最後までお読みいただけます)

続きは「プレミアム会員登録」で読む事ができます

まいみちプレミアム会員になると、有料記事を含む全ての記事が読み放題となります。

・会員向けプレゼントの応募
・頒布会などのお知らせ
・会員参加イベント企画
・メールマガジン
などお得な情報を受け取ることができます。

まいみちプレミアム会員は月額194円(税込)です。
まいみちプレミアム会員登録(購読申し込み)方法

ペイパル - あなたのカード情報、守ります。|Mastercard,VISA,American Express,JCB

会員登録されている方はこちら

 この記事を書いた「マイみちスト」
ひらぬまよしゆき(よっきれん)
廃道探索とその情報発信を生業にする、日本初のプロ・オブローダー(オブローダーとは廃道探索者)を自称。幼少を過ごした秋田県で廃道探索の面白さに目覚め、東北地方の素朴な道をこよなく愛する。様々な道路の風景の中でも、人の英知と労働が大地を穿つ形となったトンネルが、特に大好き。東京都日野市在住だが、年の半分近くは秋田で生活する。1977年生まれ。

この記事が気に入ったらシェアお願いします

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Comment (1)
  1. 匿名 さん

    読み応えありました。

感想をお待ちしております

*

CAPTCHA


この「マイみちスト」の記事を読む