
第9回 小積隧道 宮城県
季刊誌「おでかけ・みちこ」2018年12月25日号掲載 陸の孤…
【前編のあらすじ】
岩手県北部、九戸村と軽米町が接する辺りに、存在をすっかり忘れ去られたようなトンネルがある。その名は雪谷隧道。大正14年に完成した、全長145メートルの道路トンネルだ。
雪谷隧道は、『本邦道路隧道輯覽(しゅうらん)』(※)という昭和16年の文献に記録されており、他の一次資料は未だ発見されていない。私は平成19年にこの文献と出会い、おそらく”岩手県最古のコンクリート道路トンネル”に違いない雪谷隧道を探し出すことに夢中となった。当時この隧道の正確な所在地も、現状も、ネット上や文献に記載が見当たらず、不明であった。 さっそく机上調査をスタートさせた私だが、圧倒的な資料不足のため、自宅でできることは限られていた。そのため、半ば見切り発車的に現地探索へと繰り出した。二人の仲間と共に向った軽米町図書館では、住宅地図という意外な資料から隧道発見の糸口を得た。だが、午後から実際に山中へ分け入ってはじめた隧道捜索は想像以上に難航し、秋の日はみるみるうちに傾いていったのだった。
五枚橋峠を出発して1時間15分、草むした廃道を2.5キロ歩いた先に現れた、前回のラストシーン。倒木に半ば塞がれた掘り割り奥に、凝り固まったような深い闇が佇んでいた。机上調査のスタートから数えて約1ヶ月ぶり、現地調査のタイムアップ直前に漕ぎ着いた、記念すべき雪谷隧道発見の瞬間だった!廃道探索者<オブローダー>である我々が夢にも見た洞内探索が、間もなく現実のものとなる!
※土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブスにて公開されている。東北全体では、本連載の第2回でとり上げた「雄鹿戸隧道」を含む11本が掲載。 |
2007/10/23 16:21 雪谷隧道 軽米側坑口
これが探し求めた雪谷隧道の坑口だ。既に日没後のため辺りは薄暗く、デジカメの性能の限界を超える撮影環境であったため、この後は過剰にノイズの乗った写真が多いがご了承をいただきたい。もっとも、仮に明るい時間に辿り着けていたとしても、谷底のどん詰まりである現地が薄暗いことに変わりはなかったが。
記録によれば、全長は145メートル。まっすぐ九戸側坑口へ通じていたはずの洞内には、一条の光も望めなかった。風が抜けている様子もない。これまで無数の廃止トンネルを相手にしてきた私は、この時点で、内部の潰滅(非貫通)をほぼ確信した。
廃道に慣れていない読者さんの中には、落盤した隧道内部を初めて目にする人もいると思う。閉塞した廃隧道への立ち入りには、落盤、酸欠、暗所での転倒など、地上の廃道にはない物理的リスクがあるので、探索には十分な注意と準備が必要だ。それに、廃隧道は多くの人が典型的にイメージする“不気味な場所”であって、侵入には……(この記事には続きがあります。会員登録で最後までお読みいただけます)
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読み応えありました。