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第16回「痛風について」

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シンガーソングライター坂本サトルが出会った音、風景、そして人…
まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/34975682/19367

こう見えて痛風持ちだ。

初めての発作(痛みが出ること)は2016年の7月のある木曜の朝。右足の親指の付け根近辺が腫れていて痛い。

ひょっとしてこれがあの…と思いつつ「痛風、専門医」で検索した病院を受診し、見事、痛風と診断されたのだった。

【参考資料『痛風とは』】
尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。医学研究が進み、良い薬も開発されたため正しい治療を受ければ全く健康な生活が送れます。しかし、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。
痛風が起きる前に血液の尿酸値が高い状態が長く続きます。これを高尿酸血症と言います。それを放置すると、ある日突然、足の親ゆびの付け根などの関節が赤く腫れて痛みだします。痛みは激烈で、耐えがたいほどの痛みです。発作的な症状なので痛風発作と呼びますが、これはたいていの場合、1週間から10日たつとしだいに治まって、しばらくすると全く症状がなくなります。痛風発作は、炎症を抑える薬を服用すると比較的早く治る事が多いです。ただし油断は禁物で、多くの場合1年以内にまた同じような発作がおこります。そして繰り返しているうちに、足首や膝の関節まで腫れはじめ、発作の間隔が次第に短くなってきます。このころになると、関節の痛みだけでなく、関節の周囲や身体のどこかに結節ができたり。腎臓が悪くなったり、尿路結石が出来たりする人が出てきます。最終的には重症の慢性痛風になる可能性も高いので放置するのは危険です。
(公益財団法人痛風財団オフィシャルサイトより)

痛風財団なんてものがあるのか!(冗談みたいな名前ですがちゃんとした研究機関でした。)
病院でもらったのは尿酸が作られるのを抑制する薬(有効成分容量の最も低いもの)と痛み止めの座薬のみ。基本的には発作が収まるのを待つしかないのだ。1週間~10日間か。長いな…。
前出の説明文の中に「激烈で耐えがたいほどの痛み」とある。痛風諸先輩方からも「風があたっても痛いから痛風」「とんでもない激痛」などと聞いていたが、僕の場合は座薬をすぐに使用した事もあってか「耐えがたいほどの痛み」ではなかった。その木曜日に限っては。

本格的な痛みと腫れがやって来たのは翌日からの事だった。
まず右足が腫れ過ぎてどの靴も履けない。痛みはこれまで経験したどの痛みとも違っていて、足が破裂しそう…という感じ。想定外の足の腫れに皮膚がパンパンになって悲鳴をあげている、とでも言えばいいか。(後日、これが意外に的を射た表現だったことがわかる。)
翌々日、発作から2日目に仙台でレギュラー番組の公開録音があった。野外ステージで大勢のお客さんの前で小粋なトークとミニライブをやらなければならない。結局、どう頑張っても靴が履けなかった僕は人生初の「サンダルトーク&ライブ」を敢行。庶民派を一気にアピールしたのだった。

公開録音は何とか乗り切ったが、僕はこの後に大きな問題を抱えていた。
その頃、その年の9月に放送される予定のNHKドラマのサウンドトラックの制作に没頭していて、まさにその公開録音の翌日に渋谷NHK内のスタジオでレコーディングを行うことになっていた。曲作りやアレンジも全て終わり、あとはレコーディングを残すのみと言う最終局面。バンドメンバーに加えストリングスチームも招いての1日限りの作業。その1日でドラマ中に使用する楽曲を全て録りきらなければならない。その数15曲以上。しかもそのうち数曲はその場で作って録る、という最高レベルの集中力が必要な現場。それが明日なのだ。果たして医者からもらった薬だけでそれを乗り切れるのか?

公開録音終了後、サンダルのまま新幹線に乗り込み東京へと向かった。腫れと痛みはピークを迎え、僕はギターケースを松葉杖代わりにしてNHK近くのホテルになんとか辿り着いたのだった。
そしてその日の夜。僕は最大のピンチを迎えた。痛みのせいで眠れないのだ。疲れているから眠い。しかしズキン!という痛みで起こされる…その繰り返し。レコーディングは明日の午前中に始まる。このままでは本当にまずい。亡くなった父、祖母、ひいばあちゃん、各宗教の神様仏様、あとはトイレの神様など、考えられる全ての存在に祈っているうちに結局睡魔の方が勝って、僕は空が白み始めた頃にようやく眠りに就いたのだった。

朝、目が覚めると奇跡が起こっていた。痛みが全くない。嘘のように腫れもひいている。よって普通に歩ける。なんだこりゃー。全神さま、全仏さま、全先祖さまありがとうございます!
結果、レコーディングは順調に進行していき、予定よりも多い全19曲を録って無事にその日の作業は終了したのだった。優秀なメンバーとNHKスタッフの皆さんに感謝!

面白かったのはSNSで痛風と診断された事を投稿すると「実は俺も」「ようこそ痛風の世界へ!」などの連絡を多数の方から頂いたことだ。その文面から仲間が増えた事への素直な喜びが伝わってきて、僕の中に何かのサークルに入ったような所属意識が生まれたほど。
痛風になる原因はいくつか考えられるのに、一般的には「贅沢病」などと揶揄され「いいもんばっかり食べたり飲んだりしてたからでしょ」とあまり同情されない。思い当たるふしがないわけではないから少しだけ後ろめたかったりもする。だからこそ、そんな複雑な思いを共有できる仲間を発見すると嬉しい。そんなところだろうか。
その後、急に出来た痛風仲間をはじめとする多くの皆さんから情報が続々と届き、僕なりの痛風研究が始まったのだった。

「痛風」と聞いてまず思い浮かぶのは「よくわからないがプリン体というものがダメで、それを多く含んだビール、魚卵類は飲食できなくなる」という通説だろう。痛風と診断されてからビールを飲まなくなった知人を何人も知っていたから、診断がくだった時、まずは痛みよりも何よりも「これでビール飲めなくなるのか!」というショックで目の前が真っ暗になった。ウニも好き。とても好き。それもダメなのか…。
ところが診察室で先生はこう言ったのだ。「痛風ですね。でもビール大丈夫ですよ。馬鹿みたいにいっぱい飲んだらダメですけど」と。

さらに後輩バンドマンから「痛風にかかってしまった痛風の専門医」の存在を知らされる。
その先生は自分の体を実験台にしてその経過と結果を2002年に市民公開講座で発表した。その模様をブログに書き起こしてくれていたのだ。この記事は非常に興味深い内容なので痛風でお悩みの方はぜひ読んで欲しい。目からウロコの体験談。

そしてタイムリーなことにその頃NHKの健康番組で痛風の特集が組まれ、新たにわかった尿酸値が上がる原因とコントロール方法などが紹介された。その他、信頼できると判断した情報を統合した結果、僕なりの痛風論が完成したのである。

 

●痛風についてのサトル的まとめ

  • プリン体が肝臓で代謝されてできる老廃物が尿酸。だから「プリン体が多く含まれたものを飲食しないように」と言われる。
  • ところがプリン体の7~8割は体内活動により体の中で作られているため、飲食物の制限ではプリン体全体の2~3割のコントロールしかできない。(だから先生の「ビール大丈夫ですよ」なわけだ)
  • 尿酸値を上げる大きな原因の1つにストレスがある。これは精神的ストレスに加え激しい運動等の身体的ストレスも同様。言われてみると僕も痛風発作が出た頃はサウンドトラックの制作とパクスプエラの新作のプロデュースが重なって目茶苦茶な日々を送っていた。調べてみると多くの方が仕事で大きなストレスを抱えていた時に発症した、と語っていた。つまり尿酸値のコントロールとはストレスコントロールでもある、と言えるのではないか。
  • 動物性の乳製品に尿酸を体外に排出する効果があることがわかった。1日に牛乳1杯、またはヨーグルト1個でいい。豆乳などの植物性では効果がなく、またどういうわけか低脂肪乳の方がより効果が高い。
  • 適度な有酸素運動が有効。心拍数が120程度になるぐらいを30分以上。
  • 個人差はあるが体重を4~5キロ落とせば大抵症状は出なくなる。
  • 腫れがひいた後に発作が起こった足の皮が脱皮するようにむけた。これは想定以上に足が腫れ、皮膚の細胞が耐えきれず破壊されたため、というような事だと思う。体の中でも最も厚いと思われる足の裏周辺の皮膚。これが無理矢理内側から圧迫されたら…と想像して辿り着いた僕なりの結論。調べてみると皮がむけた人、多数。痛風の痛みが独特なのは関節痛に加えて皮膚が膨張に耐えられない事によるものではないか。

以上だ。

あれからもうすぐ2年。あの日以来これまでに発作は1度も起こっていない。
処方された薬はちゃんと飲む。毎日1~2杯の牛乳は欠かさない。無理せず可能な限りの有酸素運動。できるだけストレスを抱えない生活を心がける。飲食の制限もストレスになるからほとんどしない。ビール飲み、ウニを食べる。しかし量には気を付ける。

痛風を舐めているつもりはないが気にし過ぎて人生の楽しみを奪われたくはない。
真に恐れるべきはプリン体ではなくストレス。それが僕なりの痛風対策だ。

ということで最後に痛風だからと大好きだったアレコレをあきらめていた皆さんに一言。
「ビール大丈夫です。」

さ、乾杯!!

 

※今回の内容はあくまでも僕個人の体験と考えに基づいて書いたものです。痛風の原因や症状には個人差があります。担当医や専門家の意見を参考に最終的には自己責任で行動を!

「公益財団法人痛風財団オフィシャルサイト」
http://www.tufu.or.jp

「専門医が痛風になって~患者の立場からみた痛風~」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/tsuufuu/tsuufuu-shiminn-koukaikouza/tsuufuu-shiminn-koukaikouza.html

「食べ物だけじゃない!体内でも作りだされるプリン体」
http://www.skincare-univ.com/article/011128/

 この記事を書いた「マイみちスト」
(さかもとさとる)
1967年青森県生まれ。1992年、JIGGER’S SONのボーカル、ギターとしてメジャーデビュー。1999年「天使達の歌」でソロ活動開始。自身の活動の他、楽曲提供、プロデュース、映画等の音楽制作、ラジオパーソナリティとしても活動中。
この「マイみちスト」の作品

SOUND of SURPRISE

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皆さまよりお寄せいただいた感想はこちら (5)
  1. 寒石 凍 さん

    通風財団のホームページ、読みました。プリン体=原因ではなく、プリン体の老廃物である尿酸の処理の問題が、通風の原因だったのですね。最近のプリン体ゼロブームでうっかり本質を見誤りそうになりました。

  2. コメは二合 さん

    サトルさん自らの経験を踏まえた、痛風についてのまとめなので、説得力があり、力になる痛風の方々は多いのではないでしょうか?

    やっぱり、ストレスは怖いですね。
    自分は痛風ではありませんが、ストレスで体調を崩したことがありましたので、自分なりに気持ちをコントロールして、体調管理を心掛けています。
    サトルさん、これからもお大事に。

  3. りえぞう さん

    サトルさんが痛風を発症された時は、物凄く心配でした。あれから再度発作は無いと言うことでしたので、ホッとしました。
    病気は様々ありますが、正しい知識を持って、恐れず対処する事は大事な事だと思います
    これからもご自愛ください、応援しております(❁˙ ˘ ˙❁)

  4. もやしやま さん

    それぞれ病気に原因はあれど、イメージでひとくくりにされるのは本人としては辛いですよね。
    血圧高めなだけで、医者にも「塩分取りすぎ」と怒られ、私もずいぶん悩みました(薄味が好きなのに)。
    が、サトルさんがいうように、そんなストレスも良くないですよね。
    今は運動でなんとかコントロールしてます。

    あれから発作は出てないようで何よりです。
    いつまでもお元気で、ご活躍されますよう期待してます。

  5. はのひい さん

    私の実父が痛風持ちです。

    発作を起こしても、ビール大好きで、プリン体と呼ばれる食べ物を愛してる父です。(笑)

    時々発作を起こしては、『食生活正せば良いのに』と冷たく見守る娘です。(大笑)

    サトルさんのエッセイを読んで教えていただいたのは、
    ①仲間を持つこと、
    ②相手を知ること、
    ③相手と上手に付き合うこと
    この3つの大事さです。

    人生に病気とか何か負荷が、かかっととしても、この3つがクリア出来れば豊かな毎日を送れるように思いました。

    素敵な日々のためのエッセンスがぎゅっと詰まったサトルさんの『まいにちみちこ』これからも楽しみにしています。

    そして大好きな父にも牛乳のススメとともに3つの教えを促していきたいと思います。

感想をお待ちしております

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