日刊ウェブマガジン「まいにち・みちこ」│東北「道の駅」公式マガジン「おでかけ・みちこ」

まいにち・みちこ【東北 道の駅 日刊マガジン】

ご近所や祖父母、両親。見聞きした昭和的暮らしとお料理のレシピエッセイ。山形県置賜(おいたま)地方の伝統を、器用な母から不器用な娘へ。受け継がれるはずが失敗したり忘れたり。日々のご飯のヒントになるかな。

【レシピ付】夏バテ予防・爽やかスモモのルビージェリー 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/28170364/22100

子供のころ、庭に二本の果樹があった。

祖父が孫の誕生を喜び記念に植えたもので、初孫である兄の誕生の樹はスモモ、私の樹はリンゴだった。
ご近所には同様に、子供が生まれた記念に植えられた果樹が多かったように思う。
モモやアンズ、柿、サクランボ。
もちろん専門の果樹農家ではない一般人の、しかも庭先の事。
丁寧な剪定や摘果などしないので、花は美しく咲いても、八百屋で売られているような大きく甘い、立派な実はならない。
特に私の樹であるリンゴは色こそ真赤だが、子供の握りこぶしのように小さな姫リンゴサイズ、小さく固く、芯の分量だけが多い実で、もいで食べても酸っぱくてどこか渋みが残っていた。
買ったりご近所からもらって食べたほうが何倍も美味しい。
春に枝全てに咲く、花弁の先が薄い珊瑚色に染まったリンゴの花は美しいのに。

そんなわけで、毎年収穫した実は母の手で果実酒かジャムになるのだった。

島崎藤村の『初恋』という詩がある。

まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり

高校の国語の時間にこの詩を習った時、幼い頃、リンゴの木の下に立って薄紅色の花の滝の下にいた時のような、不思議に幸せな高揚感を憶えた。

兄の樹・スモモも同様で、真っ白い花が散り、夏になると、黒っぽい紫に見えるような、種の際まで色づいた実がたわわになったが、すももという言葉通り大層すっぱかった。

白く粉を吹いた完熟した実はそれでも美味しく、井戸水で冷やされて、スイカと同様夏休みの兄妹のおやつになった。
腕に伝わり落ちる赤い汁を台布巾で拭きとりながら、暗い赤色の実を皮ごと齧る。
皮を剥けば多少酸っぱさは薄れるが、子供たちはそんな面倒なことはしないのだ。
大人達、特に酸っぱいものが大の苦手な祖父と父は
「ううー、よぐそんがな酸っかい物食われっこど(うわあ、よくそんな酸っぱい物食べられるなあ)」
「いいや、見だだけで酸っかい」
と口をすぼめ、梅干しを頬張ったような、ひょっとこそっくりの顔をした。
記念樹として植えたのは自分たちなのに、と可笑しく思いながらひたすらスモモにかぶりつき、汁で服を汚したのは、昭和も40年代の終わりのことだ。
午後のおやつを食べ終えて、宿題を申し訳程度にやるうちに陽はゆっくりと傾き、家の外からヒグラシの音が流れてきたものである。

スモモはリンゴよりずっと丈夫で沢山収穫できたので、母は盛んにジャムを作っていました。今回はそのレシピで挑戦しましたが、母に電話で聞いても
「スモモにてきとーに砂糖を入れて、てきとーに火を入れて」。
……その適当が肝心なんですけど……

 

【レシピ】スモモのジェリー


【材料】
スモモ(今回は小ぶりのソルダムを使用)…1パック
砂糖…カップ1杯


(1) スモモを洗いざるにとって水気を切る。

(2) 半分に切り(無理なら適当に)種ごと耐熱容器に入れ、砂糖をまぶす。皮も剥かなくてOK。

(3) ふわりとラップをかけ、10分レンジにかける。(盛大に果汁が沸いて吹きこぼれるので、できるだけ深いボウルに入れましょう)

(4) ラップを外してよく混ぜ、今度はラップをせずに7分レンジにかける。これで水分が飛ぶ。さらさらし過ぎと思っても、冷めると丁度良いジェリー状になる。

(5)器が熱くなっているので注意してレンジから出し、フォークで種をすくい出す。簡単に取り出せる。

冷ましたらきれいに洗い消毒した瓶やタッパーに入れ、冷蔵庫で保存する。

ヨーグルトに混ぜてもよし、冷たいサイダーや白ワインで割ると紅色が美しく、ノンアルコールビールで割っても爽やかでおいしい。
酸っぱさの素のクエン酸と豊富な鉄分とミネラル、カリウムで夏バテ防止に。
切ってレンチンするだけなので気軽に作ってみましょう。

 この記事を書いた「マイみちスト」
(にったみわ)
山形県長井市で生まれ育った主婦。現在東京在住。上杉家と食べる事、アニメと特撮をこよなく愛する。色んな事に興味を持って飛び回っています。

この記事が気に入ったらシェアお願いします

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたの感想をお聞かせください

*

CAPTCHA


Facebookでも投稿できます
この連載を読む
プレミアム記事

マトリョーシカの世界(1)

私が愛してやまない雑貨の世界

まずは、「マトリョーシカって何?」ってお話   「マトリョーシカって何?」。興味のない方には、全然関係のない世…

くつわたゆみえ

パワースポットでホッと一息 「お寺café 夢想庵」宮城県・登米市【第2回】

ここでカフェを営む理由

今回紹介するカフェは、この奥にあります。   神社? いいえ、お寺です。 登米市津山にある「柳津虚空蔵尊(やな…

鶴岡彩

第1回「甲冑師・たちばな工房」さん

先人の生き様に学ぶ~ふくしまの手しごと~

甲冑師・橘斌(たちばなさとし)さん   勇壮な戦国絵巻が目の前で繰り広げられる「相馬野馬追」。福島県を代表する…

くつわたゆみえ

山の麓の赤い屋根「モカモアコーヒー」大和町【第1回】

ここでカフェを営む理由

七ツ森。 口に出すと語感も愛らしいネーミング。 ポコン、ポコンと7つ並んだ山の総称で、宮城県大和町にあります。 その麓、…

鶴岡彩

絶景・川ドライブの休憩スポット「cawa cafe(カワ・カフェ)」宮城県・丸森町【第3回】

ここでカフェを営む理由

福島から宮城、239kmにもわたって滔々と流れる阿武隈川(あぶくまがわ)。 豊かな自然に包まれた大らかな流れが見る人の心…

鶴岡彩

あなたにおすすめの記事
東北のイベント