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【レシピ付】初夏の先取り 零れる早緑 じんだん白玉団子

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ご近所や祖父母、両親。見聞きした昭和的暮らしとお料理のレシピエッセイ。山形県置賜(おいたま)地方の伝統を、器用な母から不器用な娘へ。受け継がれるはずが失敗したり忘れたり。日々のご飯のヒントになるかな。
まいにちみちこ編集室
https://my-michi.com/column/28170364/20092

すっかり宮城県の甘味として有名になった感のある「ずんだ」
しかし、この状況にぐぬぬとなっている山形県民は多いのではないかと思う。

「ずんだ」ではない。
「じんだん」だと。

小さい事だと思われるかもしれないが、山形県のテレビでは、宮城の「ずんだ」がこんなにメジャーになる前から、じんだん甘味のCМを流してきた。
山形ではおなじみの老舗・大江餅屋の「じんだん饅頭」である。
鮮やかな緑のじんだんの餡を、薄めの皮で包んでふっくら蒸し上げた饅頭。
小ぶりながら確かな食べごたえの逸品が山形県では有名だった。
秋のお彼岸のおはぎにも、八部づきの餅にたっぷりまとわせるじんだんの餡は欠かせない。
甘味以外のおかずにだって、じんだんは使われる。
夏の出盛りのキュウリを薄切りにして塩でもみ、茹で卵のあら切りと一緒に、砂糖控えめ塩をきかせたじんだんを混ぜたキュウリ和えも、さっぱりと植物性たんぱく質が取れる優秀な副菜だ。

海沿いの鶴岡地方の「だだちゃまめ」、県中央の村山地方の「秘伝豆」、県南米沢の「上杉豆」などブランド大豆の種類がある。
 長井市の実家でも、隣近所から土から抜いたばかりの枝豆をよく頂いた。
盛大に土の着いたひげ根ごと新聞紙にくるみ、細かい産毛のびっしりついた枝豆は、葉や枝も艶々として逞しい。
「美和、豆むしり手伝え」
と母から呼ばれ、土がこぼれてもいいように、玄関のコンクリの上で枝豆のさやを太く固い茎からむしっていると、いつの間にか夕刻の常連、やぶ蚊が寄ってくる。
殺虫マットや蚊取り線香の匂いの中で枝豆をむしるのは、そろそろ本格的になる夏の先触れだった。

美味しいじんだんを作るには、ある程度大量の枝豆が必用だし、手間がかかる。
固く元気な枝豆の粒は、あらかじめ粗く刻んだとしても、すり鉢の中でつるりつるりとすりこ木から逃げて、なかなか潰れてくれないのだ。
だから母は通販で買った小型の肉ひき機を使っていた。
八分目に詰めてレバーをギリギリと回すと、粗くひかれたじんだんがもろもろと出てくる。
それを密閉袋に入れて冷凍しておくのだ。
長井市の初夏は、市内の花の公園が一斉に開園し、観光客を迎える。
そのおもてなしにも、じんだん餅は使われる。
市内の餅屋が作った、柔らかい食感の串に刺した団子に、じんだんを始めとした各種の餡をまとわせたものは、市内のどこにでも売られているポピュラーなお土産であり、市民の気軽なおやつだ。

今はさや付きのまま茹でて冷凍した枝豆が、冷凍食品売り場で一年中売られていて、気軽に自宅じんだんを楽しむことが出来る。
いい時代になったものである。

【レシピ】じんだん白玉団子


白玉粉…180グラム
水…180~200ccくらい
枝豆…さや付きで300グラム
砂糖…50グラムくらい
塩…2つまみくらい
みりん…大匙1


(1) 白玉粉に水を少しずつ加え、手や大きめのスプーンでよく混ぜます。ややゆるめに練り、耐熱容器に平らに流しいれます。
(2)ラップをふわりとかけ、500Wの電子レンジなら4分加熱します。出してみて真ん中まで透明になり白い粉っぽさが無くなっていたら蒸し上がり。ラップを軽く被せたまま冷ましておきます。

(3)枝豆はさやごと沸騰した湯で茹でます。

(4)ざるに上げて水をかけて表面を冷まし、熱いうちに豆をはじいて、すり鉢でよくすりつぶします。

(5)砂糖を2回に分けて入れ、塩も加えてその都度よく擦り混ぜます。豆が熱いうちの方がよく潰れるし混ぜやすいです。

(6)みりんを入れて適度に固さを緩め、冷ましておきます。これで甘めのじんだんの出来上がり。
(7)冷めた白玉餅を一口大に水につけた手で一口大にちぎり、丸めます。通常の白玉団子よりかなり柔らかい食感なので、綺麗に丸められなくても大丈夫。
(8)器に数個ずつ盛り、じんだんをたっぷりかけます。

通常の固めの白玉団子が好きな人は、水を160ccくらいに抑え、力を込めてよく練り、一口大の団後に丸めて沸騰した湯で浮いてくるまで茹で、すくい上げて氷水で冷やしてください。
じんだんは上に盛ったり、がんばって小さな団子を包んだり、お好みで。

茹でた枝豆は冴え冴えとした鮮やかな緑なのに、潰して冷ますうちに美しい色がぼけてしまうのは寂しいもの。
長井の母に電話で聴くと
「そういうもんだと思ってある程度諦めろ。茹でた後に熱いのを我慢して塩をまぶしてさやごと揉むと、多少は鮮やかさが残る」
とのこと。
母は強し。

長井市の東、最上川を渡った山の中にある伊佐沢地区にある、餅・手打そばの店「獅子宿燻亭」の名物は、小さくちぎった突き入れ餅に、じんだん、納豆、胡桃、黒ごま、小豆あんなどをからめた小鉢がずらりと並んだ御膳『餅そば膳』である。
獅子頭工房の主人が経営し、古民家をそのまま使っている田畑に囲まれたお店は、古いお宅から集められた古民具や木彫りの獅子頭が所狭しと置かれ、さながら博物館。
駅から遠く、車でしか行けないが、駅前からタクシーを飛ばしてでも行く価値がある。
是非体感していただきたい長井市の美味、美観である。

 この記事を書いた「マイみちスト」
(にったみわ)
山形県長井市で生まれ育った主婦。現在東京在住。上杉家と食べる事、アニメと特撮をこよなく愛する。色んな事に興味を持って飛び回っています。

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