1 北山崎断崖エリア(北上) ~国民宿舎くろさき荘へ

手掘りトンネルの北にある北山漁港を抜けて崖を登って行った先に北山崎の重畳たる断崖の上をトレースする「北山崎自然歩道」があり、その中間地点に「北山崎ビジターセンター」がある。

こんな崖のアップダウンを繰り返す
落ち葉の中に道標発見

この一帯は全ルートの中でもリアス海岸の姿が最も典型的に見られるエリアで、果てしなく険しい断崖のアップダウンを繰り返さなければならない。
容赦なく体力をそぎ取ってくれるアップダウンをゼーゼー言いながら進んでいった先に強烈な階段の上り下り(誰が名付けたか「階段地獄」)があり、そこをクリアして上っていった先に突然美しい芝生の上に立つログ調の素敵な北山崎ビジターセンターが現れる。

北山崎ビジターセンター

手掘りトンネルでテレビロケ中の楠田さんは勿論いなかったが、温かいコーヒーを飲んでまずは一息入れ、すぐに後半戦に出発。この日の目的地「国民宿舎くろさき荘」までは更に今までと同じくらいこの断崖のアップダウンを繰り返さなければならない。これって本当にルートなの?と思うくらいのルートを延々と上り下りしてやっとのことで「恋する灯台」で有名な美しい灯台がある黒崎にたどり着いた時には、ここまでのルートで蓄積していた疲労で意識も朦朧とした感じだった。(笑)

アンモ浦の滝
黒埼灯台

この黒崎には灯台の他、岩手県一の落差100m以上のアンモ浦の滝と呼ばれる滝があって展望所から見ることができる。”アンモ”とはアイヌ語で鬼・妖怪・化け物などの怖いものの総称だそうだが、いかにもそんな雰囲気の切り立った断崖絶壁を、一筋の滝が流れ落ち海に降り注ぐ姿は豪快で見応えがあった。

2 ネダリ浜から普代を経て「国民宿舎えぼし荘」へ

黒崎の北側に位置する展望所から、これまた切り立った崖の階段を延々と下って行った先に小さな弁天漁港がある。この弁天漁港からさらに北にある黒崎漁港までの断崖沿いの海縁に「ネダリ浜自然歩道」と呼ばれる道がつけられている。

弁天漁港
ネダリ浜自然歩道

トンネルもあるが、基本的に海際をぐるっと崖に沿って通っているので波が高いと洗われてしまい迂回する必要がある。崖と海に挟まれた狭い道を行く豪快さはこのエリアのなかでもひときわ特徴的で好きだ。この日は運良く天気もよかったので楽しみにしていたこのルートを気持ちよく歩くことができた。

このネダリ浜を抜けてさらに5キロほど北に行くと普代の街がある。普代の浜から普代川を遡っていくと有名な普代水門があり、その上流に普代の街が広がっている。普代水門は、昭和8年の大津波を経験した当時の村長が、15.2mの津波に襲われた明治29年の津波にこだわり「二度あったことは三度あってはならない」という強い信念のもと、周囲の反対を押し切って15.5mの水門と太田名部防潮堤を完成させたことで、東日本大震災の被害を最小限に抑える結果に繋がった。この水門の横にはこの村長の業績を顕彰する立派な碑が建てられている。

普代水門
顕彰碑

普代の街から山道を抜け海に出ると力持海岸、白井海岸を抜けて白井漁港に出る。この白井漁港から崖を登っていくと、三陸鉄道のなかでも秘境の駅として人気のある「白井海岸駅」、NHKドラマ「あまちゃん」のロケ地としても人気で最も美しいビュースポットといわれる大沢橋梁やドラマで「袖が浜駅」として何度も登場した堀内駅、安家川(あっかがわ)河口部の橋梁など人気スポットが目白押しのエリアだ。

大沢橋梁
堀内駅

安家川から急峻な崖に作られている立派な避難路を800mも登っていった先に、この日の目的地「国民宿舎えぼし荘」がある。高い崖の上に立地するこのえぼし荘はエリアの避難場所として指定されている施設でもある。

800m避難路
国民宿舎えぼし荘