「道の駅」から「道の駅」へ を合言葉に、 これからも連携して支援を続ける

 東日本大震災で東北の「道の駅」は大変な被害を受けた。特に津波の被害が大きかったみやこ、高田松原、大谷海岸、よつくら港、原発事故で全町避難となったならはの「道の駅」は、震災から10年をかけ、ようやく全駅が再開できるところまできた。この間、全国からいただいた本当にたくさんのご支援には、感謝してもしきれないほどだ。
各「道の駅」に設置された募金箱を通して頂戴した義援金は、被災した「道の駅」へ分配し、再建に役立ててもらっている。ほかにも九州から青森まで全国各地からの支援物資をトラックいっぱいに集めていただいたり、企業から大型冷蔵庫等の寄付を頂戴したり、復興支援フェアを開催して東北の「道の駅」を応援していただいた。
近年は日本各地で大規模な自然災害が多発している。2016年には熊本地震と道の駅・いわいずみも大きな被害を受けた台風10号。2018年には北海道胆振東部地震と西日本豪雨災害。記憶に新しいところでは一昨年の台風19号や昨年の7 月豪雨による熊本の水害などがあり、「道の駅」だけでも20億円近い被害が出ている。
東北の場合、被害が出た翌日~翌々日には「道の駅」連絡会スタッフが現地入りして被害状況を把握。全国に9ブロックある「道の駅」連絡会と全国道の駅連絡会が連絡を取り合って、「道の駅」へ募金箱の設置をお願いしている。合言葉は「道の駅」から「道の駅」だ。
災害時に地域に貢献できる場所が「道の駅」であり、避難所に指定されている「道の駅」もある。今後もこのようなことを念頭に、「道の駅」へ行けば安心だと思ってもらえる活動を続けていきたいと考えている。

(東北「道の駅」連絡会 事務局長 鐙 啓記)

東日本大震災から10年、

広がる「道の駅」ネットワーク

東北「道の駅」連絡会
災害支援委員会 委員長
道の駅・つるた 駅長 一戸明彦さん

東北「道の駅」災害支援委員会では、被災した「道の駅」へ支援金を贈呈するなど、さまざまな活動を行っている。(2011年4月8日災害支援委員会設立準備会(上)、2012年4月に道の駅・みやこ(下)で行われた支援金贈呈式の様子)

被災地で見た惨状に言葉を失ったあの日

 東日本大震災時はご自身が駅長を務める道の駅・つるたで、通常勤務についていたという一戸明彦さん。青森県では地震発生時に停電し「道の駅」も休業を余儀なくされた。2日後に電気が復旧し、テレビに映る巨大な黒い津波で事の重大さを初めて知る。「これはただ事ではない!」、1か月もしないうちに東北6県の「道の駅」を束ねる連絡会の中に立ち上がった東北「道の駅」災害支援委員会。当時その監事を委ねられ(現在は委員長)、会議を重ね模索しながら災害支援金として募金活動をスタートさせるのにそう時間はかからなかったという。
「意外にも九州・沖縄からの募金が一番早かった。甚大な被害を受けた岩手・宮城・福島はもちろん、青森は八戸・三沢などに対して、同じ東北に生きる私たちに何ができるのか考えましたね。会議で仙台へ何度も足を運びましたが、規制があって被災地にはなかなか入れず、岩手の海岸線を走ったのは震災から1年後。ひどい惨状を目の当たりにして言葉がなかった」と一戸さん。
震災から5年が経ち状況が落ち着いて来た時に、復興アピールとして提案したのが特産品やご当地グルメを一堂に会した「東北6県『道の駅』まるごとフェスタ」の開催。反対の声もあったが、賛同する「道の駅」が多く何とか実現にこぎ着けた。1年目は仙台市に39駅が集結し約5万人で賑わった。フェスタは名物イベントとして一昨年まで4年続いたが、昨年はコロナ禍で中止を余儀なくされた。
「そもそも道の駅の管理者は町・農協・商工会が多く、道の駅を支えているのは新鮮な農産物や手作りの加工品を販売する地元の農家です。今は募金中心の活動ですが、青森であれば台風で被害を受けたりんごを道の駅間でスピーディーに流通させる産物交流など、道の駅として一歩進んだ支援活動を考える時期に来ていると思います」。
「災害支援委員会」は、今も活動を継続している。毎年のように各地で発生する地震や豪雨などの自然災害で大きな被害が出た場合、「道の駅」を通じて募金活動を行い、直接「道の駅」に義援金を送っている。東日本大震災をきっかけに繋がり始めた「道の駅」同士のネットワークの輪が、東北にとどまらず全国に広がっているのが心強い。


目の前はビーチ!待望の復活

【宮城】道の駅・大谷海岸

とれたての魚介がずらり新メニューにも期待

 道の駅・大谷海岸は、抜群の透明度と美しい砂浜で知られた大谷海水浴場のすぐ背後にあったが、津波はビーチも「道の駅」も、さらっていった。あれから10年。長い仮設店舗での運営を経て2021年3月28日、待ちわびたグランドオープンを迎える。
新施設は、9.8メートルかさ上げし防潮堤機能を併せ持つ国道45号沿いに建つ。小野寺正道駅長は2015年に就任し、被災した「道の駅」の復活という重責を引き受けた。自らも被災し復興に携わった経験から「地元の漁師や農家の生業を守り、地域住民の集う場を作りたい」という思いが強い。まだガランとした館内を見渡して「とれたての魚介や野菜がたくさん並ぶんだ」と頬を緩ませる。飲食スペースでは、名物のフカヒレソフトもメカジキカレーも引き続き提供予定だ。戦後に品質日本一として名をはせたジャガイモ「大谷いも」を使った新メニューも考案中だ。
この夏11年ぶりの復活を目指す大谷海水浴場は、「道の駅」から68メートル。日焼けした家族連れで賑わう風景が待ち遠しい。

「気仙沼のいいものをギュッと詰め込んだ『道の駅』になりますよ」と小野寺駅長
10年間復興を見つめてきた仮設駅舎。
道路工事に伴い途中で移設した
工事中の新駅舎。
北欧風のデザインを取り入れたおしゃれな外観

道の駅・大谷海岸

所在地/宮城県気仙沼市本吉町三島9
電  話/0226-44-3180
営業時間/9:00~18:00(レストラン10:00~17:00 ファストフード 9:00~17:00)


三陸沿岸地域のゲートウェイとして復活

【岩手】道の駅・高田松原

震災の記憶を伝え未来をつくる

 2019年9月22日、道の駅・高田松原は、併設の東日本大震災津波伝承館、国営追悼・祈念施設とともにオープンした。陸前高田市役所復興局長として再建に携わっていた熊谷正文駅長は、「道の駅・高田松原は、地元の農産物や物産品を取り扱うだけではなく、震災からの復興、津波について学び、防災に備えることを意識する場所です」と話す。
オープン当初は多くの人でにぎわったが、新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年はオープン後初めて迎えた5月の大型連休に営業できず打撃を受けた。しかし、熊谷駅長は「三陸広域の商品をそろえて、誰もが安心して買い物ができる環境を整えたい。そして、地元の人にも観光客にも足を運んでもらえるようにしたい」という。この3月6日に、三陸沿岸道路気仙沼港~唐桑南間が開通し、仙台から車で約2時間で来ることができるようになった。「三陸観光のゲートウェイ(玄関口)として、にぎわいの場を創っていきたい」と熊谷駅長は前向きである。

「道の駅」で人気ナンバー1のおみやげ「おつまみ板昆布(420円・税込)」
鳥取で人気のすなば珈琲が、震災の復興支援をきっかけに道の駅・高田松原に出店。サイフォンで淹れた「砂焼きコーヒー(360円・税込)」と「キャラメルウインナーコーヒー(450円・税込)」が人気

道の駅・高田松原

所在地/岩手県陸前高田市気仙町字土手影180
電  話/0192-22-8411
営業時間/9:00〜18:00(12月~2月9:00~17:00)、
レストラン10:30〜14:30、すなば珈琲10:00~16:00
※現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、営業時間を短縮しています。
定休日/無休
オンラインショップ/https://store.takata-matsubara.com

東日本大震災津波伝承館
営業時間/9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日/年末年始 ※臨時休館あり
入館料金/無料


内陸と沿岸をつなぐ中継地として

【岩手】道の駅・みやこ「シートピアなあど」

海を眺めながら味わう宮古トラウトサーモン

 道の駅・みやこは、眼前に宮古湾が広がっているため、東日本大震災では甚大な被害を受けた。建物は約5メートルまで浸水し、そのラインは「3・11の記憶」として外壁に記されている。  営業を再開できたのは翌年3月24日。地元の工場が被災しているため、震災当時は地元の商品が少なかった。
「今は地元の食材やおみやげが増えました」と関口駅長はいう。いま力を入れているのは、「宮古トラウトサーモンのいくらと漬け丼」だ。トラウトサーモンは身が柔らかく、脂のノリがよい。副料理長の佐々木敦さんは「このトラウトサーモンは、焼魚より刺身にして食べたほうがおいしいんです」という。食堂からは宮古湾が見え、眺望もよい。風景もおいしさをもたらしてくれるというが、そのとおりだ。「道の駅」周辺はいまも復興整備が進行中である。
「国道106号と45号の中継地にあるので、内陸と沿岸をつなぐ存在として機能していきたいと思っています」と、関口駅長は常に先を見ている。

道の駅・みやこのオリジナルキャラクター「うにねこ」の顔出し看板と関口茂駅長。うにねこは、「道の駅」開業当時から存在し、一緒に震災を乗り越えたラッキーキャラクター。宮古震災がれきの復興ボードを使用
「宮古トラウトサーモンのいくらと漬け丼」は、小鉢・味噌汁などがついて1,350円(税込)
写真中央にある青のラインまで津波で浸水した

道の駅・みやこ「シートピアなあど」

所在地/岩手県宮古市臨港通1-20
電  話/0193-71-3100
営業時間/9:00~17:00
定休日/無休
レストラン 汐菜
営業時間/平日10:30~15:30(L.O.15:00)
土・日曜、祝日10:30~16:30(L.O.16:00)
定休日/無休


お客様の笑顔に会えることが幸せ

【福島】道の駅・ならは

楢葉の復興の拠点として名物料理と温泉で癒したい

 震災後の原発事故で全町避難を余儀なくされた楢な らはまち葉町。80人いた「道の駅」のスタッフも全員避難してバラバラになり、一瞬にして町から明かりが消えた。その後、「道の駅」は双葉警察署の臨時庁舎として使われ、復興の一翼を担う。2015年9月、楢葉町の避難指示が解除されるとともに、復興拠点としての「道の駅」への期待が高まってきた。
「復興に携わる人々をサポートしたいという使命感がありました。ゆっくり食事を楽しみ、温泉や休憩所でくつろげるようにと再開に向けて準備をしました」と話す鈴木昇駅長。課題だった新スタッフも揃い、2019年4月25日、8年1か月ぶりに温泉施設、レストラン、売店が再開。今では、地元の家族連れなども利用するコミュニケーションの場になり、町にも活気が戻ってきた。
「お客様の笑顔を見ることが私たちの幸せです。復興を成し遂げて支援してくれた皆さんに恩返しをしたい」。故郷の味「マミーすいとん」や天然温泉はもちろん、スタッフのあたたかいもてなしにも癒やされる。

「楢葉産の新鮮な野菜はおいしいですよ」と笑顔でPRする鈴木昇駅長。甘いサツマイモも人気上昇中
楢葉町名物“ おふくろの味”「マミーすいとん定食」(650円・税込)は元サッカー日本代表監督トルシエ氏が命名

道の駅・ならは

所在地/福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字大堤入22-1
電  話/0240-26-1126
営業時間/物産館9:00~18:00、フードコート11:00~20:00(L.O.19:30)、温泉10:00~21:00(最終受付20:30)
定休日/年中無休


いわきの魅力と特産物を発信

【福島】道の駅・よつくら港

たくさんの支援に感謝!復興拠点から市民交流の場へ

 オープンから8か月足らずで津波による壊滅的な被害を受けた道の駅・よつくら港。「自宅も津波で流されて頭が真っ白になり、道の駅の復活は無理なのではと思っていました」と白土健二駅長は当時を振り返る。しかし、三島町や北塩原村など会津地方からボランティアの方が訪れ、5 日間でがれきを撤去してくれたそう。
「あの支援のお陰で復活はできると力が湧きました」。
それからのスピードは早く、4月中旬から炊き出しや販売イベントなどが始まり、復興拠点としていち早く活動を再開。その後も地域支援イベントを継続しながら翌年1 月には大型テントで仮営業を開始。2012年8月11日にリニューアルオープンを叶えた。隣には地元の夏まつりで披露するねぶた制作のための「ねぶた小屋」や子どもの屋内遊び場を備えた施設も整備した。「市民交流の場として„よさこい"やサークル活動の発表などにもたくさん利用してほしいです」と笑顔で呼びかける。近年はいわきで水揚げされたホッキ貝や加工品も人気を集めている。

「6月から1月まで毎月1回、ほっきまつりを開催しています」と朗らかに笑う白土健二駅長
太平洋を一望できる道の駅。いわき四倉海水浴場へは歩いて行けるのでアウトドアや観光の拠点にも
「道の駅」の建物を支える柱には復興への思いや子どもたちの夢などが描かれた陶板タイル700枚が貼られている
震災直後の様子。甚大な津波被害を受け、建物が全壊。当初は復活は難しいのではと思われていた

道の駅・よつくら港

所在地/福島県いわき市四倉町字五丁目218-1
電  話/0246-32-8075
営業時間/9:00~18:00(11月~2月は~17:00)
定休日/毎週火曜日(祝日の場合は営業)、1月1日

= お申し込み方法 =

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