冬には冬の楽しみ方がいろいろありますが、釣りにおいては「ワカサギ釣り」が昔から安定した人気を得ています。

冬の氷上で自然を相手にじっくり楽しめる、誰にでも楽しめて、それでいて奥が深い、そして食べても美味しい「ワカサギ」を狙ってみてはいかがでしょうか?

 

 

そして、釣りの仕掛けなども大切ですが、釣りを安全に楽しむために、備えておきたい知識がたくさんあります。

ここでは、釣るよりも大事な知識、釣り開始までの手順などをご案内いたします。

 


 

◎氷上釣りができるフィールドは?

まず氷上釣りはどこでもできるわけではありません。宮城県では全域で禁止されており、他県においてもできる場所は結構限られている。私有地などに立ち入ればそれこそ不法侵入となるので注意が必要です。主に東北5県で氷上釣りができるのは以下の通りです。

 

 

また、湖によって氷上釣りが可能になる時期は異なり、暖冬だと最悪氷上釣りができない場合もあるので注意が必要です。

漁協によっては湖の結氷状況などを配信しているところもある(写真のは桧原湖漁協)

 

◎釣るよりも大事な知識

 初めて氷上釣りをする場合は経験者に同行して知識を得ていくのがベストです。しかし、周りにそのような人がいないという場合は必ず漁協のあるフィールドを選びましょう。漁協が氷厚などを把握し、解禁日や氷厚が薄い立ち入り禁止区域の設定、駐車場の管理などを行っているためです。
 まずは釣るより先に、ワカサギ釣りにおいて想定される事故やトラブルを知っておくことが大事です。

 

一酸化・二酸化炭素中毒
 悲しいことに毎年必ず事故が起きているのがこの事故です。寒いだけに換気を怠ったり、寝不足で寝てしまったり、ちょっとした油断が大きな事故を招きます。暖房器具が完全燃焼していても、換気しなければ二酸化炭素中毒も起こすので注意。

落水事故
 氷厚が15cm以上あれば安全とはいうが、岸際、湧き水がある所、流れのある放水口付近などはそれよりも薄い可能性があります。特に氷が解け始めるシーズン終期は一気に氷厚が薄くなるので注意が必要です。

駐車場
 一見駐車できそうでもそこは私有地だったり、排雪スペースに使用する場所だったりします。普通車が通れるとしても、大きな除雪車や緊急車両が通ることもあるので路上駐車は厳禁です。身勝手な駐車は絶対にしないこと。

ゴミ
 テント内では食事など楽しいですが、そのゴミを雪に隠したり、穴から湖に捨てたりする人もいらっしゃるようです。また、サシエサの木屑や集魚カプセルの空などもゴミなので、きちんと持ち帰りましょう。

遊漁券・駐車管理費
 漁協が管轄する湖では遊漁券が必要となる。大抵は近くのコンビニで売っているので、必ず事前に購入する。他、駐車管理の協力金を徴収している湖もある。末永く釣りが楽しめるよう協力しよう。

 いずれ全くの初心者であれば、岩洞湖や桧原湖のようにドーム・屋形船、小屋があり、タックルのレンタルも行っている所でワカサギ釣りを体験してから、テント釣りを始めるのがベスト! ちなみに、岩手県・岩洞湖の岩洞湖レストハウスではインストラクターがテントの張り方から釣り方まで全てを教えてくれる「ワカサギ学校」という有料サービスもあるので、利用をおすすめします。(2021ワカサギ学校は、新型コロナウイルス感染防止のため中止となりました)

 

 


 

◎テント釣りに最低限必要なアイテム

 快適さを求めると荷物が膨大な量になり、持っていくのも大変になる。必要最小限、コンパクトにして持ち運びを楽にするかがポイントだ。最低限必要な物をまとめてみました。

タックル:竿とリールは電動タイプが快適。これにミチ糸を巻いて、市販の仕掛け、オモリ、ベニサシなどのエサを付ける。

テント:ワカサギ釣り用の床(底)がないタイプ。風が強い状況が多いので、いかに早く設営、撤収ができ、かつ風に強い物が望ましい。基本的にはペグや張りへ網などもテントにセットされているが、ペグは氷と雪どちらにも対応できる物があると良い。

これがなければ始まりません! アウトドアメーカーや釣り具メーカーから様々なタイプのテントが発売されている

アイスドリル:穴の直径15cm以下と指定している漁協もあるのでそのサイズがベスト。電動ドリルも使用するとより楽に穴を開けられる。

アイスドリル。写真のように手動式のもあれば、電動工具に装着できる物もある

氷雪すくい:ドリルで穴を開けても削った氷や雪が穴に残るので、これを除去するための器具。氷や雪が厚いフィールドでは柄の長いタイプが望ましい。

穴の雪や氷を除去する時に必要

スコップ:テントの断熱と風対策でテントの周囲を雪で囲むために必要。折り畳み式のタイプなどもあり、持ち運びに便利。

プロックス「折りたたみ式雪かきスコップ」。これならコンパクトに荷物にまとめられる

ハサミ:仕掛けの端糸を切ったり、ツケエサのサシエサを切るために必要。

ハサミは仕掛けを切ったり、エサをカットする時に必須なアイテムとなる

 


 

◎快適度アップアイテム

 なくてもなんとか釣りはできるが、あったほうが絶対に快適で、釣果アップするというアイテムは次の通りです。

 

●ソリ:荷物は手持ちでもいけない事はないが、長距離を歩くとなるとかなりしんどいのであったほうが良い。荷崩れしないように「ソリネット」と「ソリネットコード」もあったほうが良い。

 

●暖房器:極寒になるとテント内でもガイドが凍るなど釣りにならないし、寒いと集中力も低下してしまうのでほぼ必須。使用する際は換気はまめに行うこと。

燃焼器具は便利な反面、使い方を謝ると一酸化炭素中毒などの危険性もあるので、十分に換気をして使用すること

●断熱マット:お風呂マットなどウレタン製のマットをテント内に敷くと足元も暖かい。

 

●竿台:竿を置いた時に安定するんので、アタリも取りやすくなる。

素手で竿や電動リールを持つのが基本。寒いからと手袋を付けたままだと小さなアタリを捉えることができません

 

●イケス:ワカサギを活かしてキープしておくイケス。泥も吐かせることができ、より美味しくワカサギを食べられる。

 

●氷穴スリーブ:穴の縁に針が引っ掛かり、ワカサギが逃げたり、仕掛けが切れたりするトラブルを軽減してくれる。

 

●絡み防止アンテナ。ワカサギの仕掛けは長く、針数も多いので絡みやすく、どこかに引っ掛かりやすい。トラブル防止と手返しアップには欠かせないアイテム

 

●針外し器:ワカサギを手で持たなくても針を持って口元にこれを引っ張ると簡単に外れてくれる。

 

 


 

◎釣りまでの手順

 前述の通り、漁協が管轄している場合は遊漁券を購入し、所定の場所へ車を停めたらいよいよ氷上へ降りるが、そこからは以下の手順になります。

(1)荷物をまとめる
 単純な作業ではあるが、荷崩れしないようにきっちりソリなどに積みます。忘れ物をすると車まで戻るのが大変なのでよく点検しましょう。

(2)湖上(氷上)へ歩く
 漁協や皆が踏み固めた「本線」を歩きましょう。そこから外れると雪が踏み固められておらず歩くのがしんどかったり、危険な場合もあります。

どこで釣っていいわけではない。通路や釣り禁止区域を必ず守ること

(3)ポイントを探す(決める)
 好ポイントを見つけようと人のいないエリアに入るのは危険です。人が多いエリアを選んだほうが無難です。魚探がある場合は、何箇所か穴を開けて反応が濃い場所を選びます。

魚探はなくても釣りはできるが、より釣果を求めたい時はなくてはならないアイテムだ

(4)釣り座分の穴を開ける
 ポイントを決めたら、人数分の穴をドリルで開けます。

(5)テントを張る
 風裏を出入り口側にする、穴に対して釣り人が座れるスペースを作る、などを意識しながらテントを広げて仮設置します。テント下部の耳と呼ばれる部分を外側に広げ、そこに雪を盛り囲みます。各所にペグを打って張り綱を張り、防風効果を高めます。なお、テントが張れないくらいに風が強い場合は危険なので無理せず撤退しましょう。

テントの周囲に雪を被せて断熱効果と風対策に期待

(6)テント内を整頓する
 椅子、マット、暖房器などを配置します。

(7)仕掛けをセットする
 竿台、タックル、仕掛け、イケス、エサ箱などを準備してセットします。

(8)エサを付けたら釣り開始!
 ベニサシは太いお尻のほうに針先を浅く刺して針先を出し、半分にカットします。このエキスを出すことが大事で、ワカサギを集魚し、食いも良くなります。

 

 

★★★釣りで重要なこと★★★

 

【1】手袋は付けちゃダメ!
 ワカサギの仕掛けは針数が多く、とても繊細。手袋を付けていると、ほぼ100%針が引っ掛かって大変なことになってしまいます。ウエア上下もできればレインウエアのような針が掛かりにくいものを着用し、釣り座の周りにも引っ掛かるような物は極力置かないほうが良いです。

 

【2】作業時は仕掛けを伸ばす
 エサ付けやワカサギを外す時に仕掛けが絡みやすいので、穴と手元の間には横長に作業スペースを確保した上で、そこに仕掛けを伸ばした状態で置いて作業するとトラブルを未然に防げます。仕掛け絡みを防止するアンテナを使用しても良いですが、慣れるまでちょっと時間は掛かります。

 

【3】3~4回竿先を5cm幅で動かし、3秒完全静止でアタリを取る
 これが誘いの基本です。これをスムーズに、リズム良くできることが肝心です。誘い中よりも完全静止から1~2秒後にアタることが多いのでそこで集中しましょう。

 

【4】積極的にアワせてみる
 初心者が「アタった!」と把握できるアタリは、実際はアタリ全体数の1~2割程度でしかなく、相当なアタリを逃しています。こればかりは経験を積むしかありませんが、とにかく何か変だと思ったらその瞬間にアワせるクセをつけましょう。それでワカサギが掛かればアタリ、掛からなければアタリでないと判断できます。アワせてみないことには判断できません。

 

【5】釣れない時ほど誘い続け、エサをまめに替えること
 釣れないとどうしても飽きてきてただぼーっとアタリを待つだけになってしまいがちです。そうすると余計に釣れなくなるので、まめに誘い、まめにエサを替えましょう。

 

 

以上、基本的なことをまずは覚えて経験を積み、是非自分なりのワカサギスタイルを見つけましょう!