ゴールデンウィークが終わり、初夏になってきましたね。今年は暑くなるのが早くて猛暑も予想されていますが、夏もできるだけこのままで…と、ついつい今から思ってしまいます。

さて。連載第6回目【笹巻きときなこ(黄緑)】でも少し触れましたが、今回も山形県庄内地方でゴールデンウィーク頃から食べる郷土料理をご紹介したいと思います。

孟宗竹(もうそうちく)という種類のタケノコで作る、“孟宗汁(もうそうじる)”です。

味付けのアクセントは酒粕です。庄内地方の郷土料理には、酒粕を使うものが数多くあります。

酒粕にはタンパク質、ビタミンB1・B2・B5・B6、葉酸、食物繊維などが豊富で、美容と健康にとても良い食品だそうです。酒粕を使った化粧品も数多くあるとか。

ただ、ちょっとクセのある味と香りなので苦手な人も。正直なところ、私自身も苦手な方です。酒粕料理は、孟宗汁と鮭の味噌粕漬けしか食べられません。

私は甘酒が好きなのでよく作ったり飲んだりしておりますが、酒粕由来のものは苦手なため、甘酒はもっぱら米麹派です。

甘酒は現代ではどちらかというと冬に飲むイメージですが、江戸時代は夏にたくさん飲まれていたとか。近年では「飲む点滴」として見直されてきているようですね。

 

さて、話を酒粕に戻しまして。

茨城に来てからは、酒粕料理を食べる機会はほとんどなくなりました。

 

ところが、ありました。茨城にも酒粕料理が。

 

まだギリ20代だった頃、とある職場で事務仕事をしていた時のことです。お昼休みは女性事務員全員で、決まった場所の決まったテーブルで固まって昼食を食べることになっていました。

たまにお局様が手作りのお菓子や料理を持ってきておすそ分けしてくれることがあり、おいしくいただきました。

…ただ一つの料理を除いては。

ぶっちゃけ、ここ茨城ですらかなり上級者向けのお味でして…何というか、その…鮭の生臭みと酒粕の独特の香りが、そっちの方向で強力タッグを組んで襲い掛かって来る風味というか…。

なので、酒粕がダメ、生魚も内臓系もダメ、下戸、さらに他県出身の私にはほんの一口だけでも

でした…。

しかし、私にはおかわりを断ることも、水やお茶で口の中をすすぐことすらも許されませんでした。なぜなら、手間暇かかるすみつかれを丹精込めて手作りしてきたお局様が

というオーラを全身全霊フルパワーで発していたからです。

現在および将来的に身を守るため、全身全霊フルパワーで何とか笑顔を作り「オイシイデス、ゴチソウサマデシタ」と返しましたが、見破られたのでしょう。結局お局様には、この後さらに嫌われてしまいました。

 

すみつかれとお局様、そしてそれらのファンの方には申し訳ありませんが、

 

とりあえず、酒田祭り(5月19・20・21日)と鶴岡天神祭り(5月24・25・26日)の頃に孟宗汁をたっぷり作ろう。どんぶりに特盛して、おかわりして食べられれば充分幸せ幸せ。

…ということにした初夏のひとときでした。

 

酒田祭り(山形県酒田観光物産協会サイト)
http://www.sakata-kankou.com/event/80 

鶴岡天神祭り(山形県鶴岡市観光連盟)
https://www.tsuruokakanko.com/season/tenjin/event.html